マイコプラズマ

マイコプラズマ（Mycoplasma）

マイコプラズマは細菌の一種であり、その特徴としては細胞壁を持たず、非常に小さな細胞とゲノムを有していることが挙げられます。これらの細胞は主に真核生物の宿主に寄生し、124種と4亜種が確認されています（2015年4月28日現在）。

特徴

この細菌のゲノムサイズは55万から140万塩基対と、記載されている種の中で最小の部類に入ります。また、細胞の大きさも200-300nmと非常に小さいです。マイコプラズマは、必要な成長因子を外部から摂取する必要があり、特にステロール、アミノ酸、脂質、核酸などが必須です。そのため、一般的な栄養培地で増殖できない種も多く、特定の真核生物の細胞に付着して寄生します。実験室内では、また一部の種は培養が可能ですが、細菌とウイルスの中間的な存在だと言えます。

その名前は、ギリシャ語で「キノコ」を意味する「mykes」と「物」を表す「plasma」の合成語であり、「菌類に似たもの」という意味を持っています。

分布

マイコプラズマの多くは動物に寄生し、特に病原性の高いものが存在します。関節炎や肺炎の原因となることが多く、体内で様々な症状を引き起こします。

コンタミネーション

細胞壁を持たないため、これらの細菌は形状が変化しやすく、通常のフィルター（0.22 μm）を通過できる特性があります。このため、コンタミネーションが発生しやすく、実験で培養する細胞に悪影響を与えることがあります。細菌や真菌による汚染は目視できることが多いですが、マイコプラズマはその小ささから確認が難しく、症状が現れない場合も多いです。

マイコプラズマの影響には、培養細胞の成長阻害や代謝や遺伝子発現への影響などがあります。そのため、細胞を使った実験を行う際には、マイコプラズマの存在について確認することが重要です。

検出方法

マイコプラズマの検出には培養法が一般的ですが、ポリメラーゼ連鎖反応（PCR法）や核染色法も用いられます。培養法は精度が高い一方、結果が出るまでに時間がかかります。PCR法やEIA法は迅速で、当日内に結果が得られますが、一部の種に限定される場合があります。最近では、マイコプラズマの酵素を用いた迅速キットも開発され、30分以内で測定できる製品が登場しました。

医療におけるマイコプラズマ

マイコプラズマ感染症は主に非定型肺炎を引き起こし、特にオリンピックの年に流行することが知られており、「オリンピック熱」とも呼ばれています。近年はこの傾向が薄れていますが、喫煙者は重症化しやすいという報告があります。

症状

感染の主な症状は乾いた咳であり、発熱、頭痛、喉の痛み、倦怠感など感冒様の症状を伴います。消化器官への影響も見られ、嘔吐や下痢といった症状が現れることもあります。特に成人においては重症化する例が増えており、症状の傾向が呼吸器から消化器へと変化しています。

診断と治療

マイコプラズマ感染の診断は、分離培養やPCR、血清診断が利用されます。治療法としては、マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が用いられ、投与期間は7日から10日程度とされています。ただし、8歳未満の小児にはテトラサイクリン系抗生物質は禁忌です。

最後に、マイコプラズマは自然に治癒することが多いため、全ての症例で抗生物質が必要というわけではありません。しかし、感染の状況に応じて適切な治療が求められます。

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