マイコンソフト

かつて大阪府大阪市中央区に本社を構え、パーソナルコンピュータ向けのゲームソフトウェア開発や周辺機器の製造・販売を手がけていた日本の企業、マイコンソフト株式会社（Micomsoft Co.,LTD）。その歴史は、現在の親会社である電波新聞社の一部門から始まりました。

沿革

マイコンソフトの起源は、1980年代における電波新聞社出版部のマイコンソフトウェア開発室に遡ります。当時、電波新聞社が発行していた雑誌に掲載されたソフトウェアのメディア販売に加え、雑誌コンテンツを基盤として、ナムコをはじめとするアーケードゲームのパーソナルコンピュータへの移植開発、プロデュース、販売を手がけました。これは日本のPCゲーム黎明期において重要な役割でした。

1993年、ソフトウェア開発室は電波新聞社の全額出資を受け、マイコンソフト株式会社として独立しました。本社は電波新聞社大阪本社内に置かれました。法人化後も事業は継続されましたが、徐々に周辺機器、特に映像関連機器やゲームコントローラーといったハードウェア部門へと事業の主軸を移していきます。

2018年10月1日、マイコンソフト株式会社は電波新聞社を存続会社とする吸収合併により解散しました。これにより、マイコンソフトの事業は電波新聞社内の「株式会社電波新聞社マイコンソフト事業部」へと引き継がれ、取り扱い製品や窓口などはそのまま維持されています。現在、ソフトウェア開発は休止しており、事業はハードウェア関連が中心となっています。

事業内容と主な製品

ゲームソフトウェア

マイコンソフトは、1980年代から90年代にかけて、当時の様々なパーソナルコンピュータ向けに数多くのゲームソフトウェアをリリースしました。特に、ナムコ、セガ、データイーストといった主要なアーケードゲームメーカー作品の移植を多数手がけたことで知られています。『ゼビウス』、『ドラゴンバスター』、『パックマン』、『スペースハリアー』、『ファンタジーゾーン』、『バーガータイム』など、幅広いジャンルのタイトルを移植しました。また、YMCATなどが制作した『デーモンクリスタル』シリーズなどのオリジナル作品の販売も行っていました。

活動末期には、「ビデオゲームアンソロジー」シリーズを展開。これはオリジナルのアーケード基板などの挙動を可能な限り正確に再現することを目指した、高品質な移植シリーズでした。

パソコン用周辺機器

マイコンソフトは、その革新的な周辺機器によっても広く知られています。特に映像関連の機器とゲームコントローラーは、同社の代表的な製品群です。

映像関連機器では、古いゲーム機やパソコンのアナログRGB信号を高画質化したり、現代のディスプレイに接続可能にするためのスキャンコンバーターやアップスケーラーなどを開発しました。「XRGB」シリーズはその代表であり、レトロゲームを高精細に映すための機器として、現在でも多くのレトロゲーム愛好家に利用されています。

ゲームコントローラー分野では、「INTELLIGENT JOYSTICK XE-1」シリーズが特に有名です。PC版『ゼビウス』の同梱品として登場した初代「XE-1」は、その優れた操作性で人気を博し、後に様々な機種に対応したモデルが展開されました。レバー入力方向の切り替え、連射機能、ボタン角度調整など、ユニークな機能を搭載したモデルも存在しました。

また、X68000用のアナログスティックである「XE-1AJ」は、シャープの「サイバースティック」と同等の製品で、マイコンソフトは開発協力をしました。この「サイバースティック」は、2022年に電波新聞社マイコンソフト事業部からUSB接続の復刻版が発売され、再び注目を集めました。他にも小型パッド型や操縦桿型ジョイスティックなど、多様なコントローラー製品や、機種間の接続を可能にする変換アダプターなどを開発・販売していました。

現在

マイコンソフト株式会社は電波新聞社に吸収合併され、現在は同社のマイコンソフト事業部として事業が引き継がれています。主に映像関連やゲームコントローラーといったハードウェア製品の開発・販売が続けられており、その技術力と製品は現在も多くのユーザーに支持されています。

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