メジェド

メジェド：古代エジプトの謎めいた存在

メジェドは、古代エジプト神話に登場する言葉で、主に二つの意味を持ちます。

1. 神としてのメジェド

概要: 「メジェド」とは、古代エジプトにおいて「打ち倒す者」という意味を持ちます。死者の書の一つであるグリーンフィールド・パピルスに登場し、他の神々から礼拝される存在として描かれています。
詳細: グリーンフィールド・パピルスの第17章には、詳細不明な神々が登場しますが、その中にメジェドに関する記述があります。しかし、その姿や役割についてはほとんど情報がありません。パピルスに描かれた図像では、脚と目が見えるものの、全体は円錐形のもので覆われています。
解釈: この場面の解釈は二通りあります。一つは、描かれた存在そのものがメジェド神であるという説。もう一つは、別の神を形容する言葉であるという説です。また、この文章自体が、悪霊から身を守るための呪文である可能性も指摘されています。

2. 魚としてのメジェド

概要: メジェドは、古代エジプトの都市オクシリンコスで崇拝されていたモルミルス科の魚の一種も指します。
詳細: この魚はナイル川に生息する中型の淡水魚で、特徴的な下向きに曲がった吻（ふん）を持っています。この吻は「エレファントノーズ」とも呼ばれます。モルミルスは、オシリス神の肉体がバラバラにされた際、その陰茎を食べたと伝えられています。
関連: 上エジプトの「ペルメジェド(Per-Medjed)」という地名は、この魚に由来し、現在の「オクシリンコス」という名前に繋がっています。オクシリンコスで神聖なメジェドとして知られるモルミルスは、長い臀鰭、小さな尾鰭、大きな腹鰭と胸鰭、そして下向きに曲がった吻など、モルミルス科の特徴を多く備えています。

メジェドに関する考察

メジェドは、神としても魚としても、その詳細が不明な点が多く、謎に包まれた存在です。神としてのメジェドは、死者の書に登場するものの、具体的な役割や性格は分かっていません。魚としてのメジェドは、オクシリンコスで崇拝されたものの、その理由や儀式についてはほとんど記録が残っていません。

現代では、エジプト神話をテーマにしたアニメ作品にメジェドが登場し、そのユニークな姿から人気を集めています。しかし、アニメにおけるメジェドは、あくまで創作であり、古代エジプトにおける実際の信仰とは異なるものであることに注意が必要です。

メジェドは、古代エジプトの信仰における多様性と神秘性を象徴する存在と言えるでしょう。今後の研究によって、その謎が解き明かされることが期待されます。

関連項目

オシリスとイシスの伝説
神々の記 - エジプト神話をテーマにしたテレビアニメ

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