ランクセス

ランクセスAG：歴史と事業展開

ランクセスAGは、ドイツ・ケルンに本社を置くグローバルな特殊化学品メーカーです。その歴史は1863年、合成染料メーカーとして設立されたフリードリッヒ・バイエル合名会社にまで遡ります。2004年、バイエルAGの化学品事業と高分子材料事業の一部が分離・独立することで、ランクセスAGが誕生しました。社名は、フランス語の「lancer（突き進む）」と英語の「success（成功）」を組み合わせた造語です。

設立と事業再編

設立当初から、ランクセスAGは積極的な事業ポートフォリオの再編を行いました。数多くの事業売却と買収を繰り返しながら、現在の事業構造を構築していきました。

事業売却の例

精密化学品ビジネスユニットの分離（サルティゴGmbH設立）
ドルラスタン合成繊維事業の旭化成せんいへの売却
iSLケミー（調整顔料・特殊コーティングメーカー）のBerlac AGへの売却
紙パルプ用化学品ビジネスユニットのケミラ・グループへの売却
繊維加工用化学品ビジネスユニット（一部）の売却（エゲリア・キャピタル社、StarChem社）
ボルヒャーズ（塗料・エマルジョン塗料・インクメーカー）のOMグループへの売却
ルストランポリマーズビジネスユニットのイネオス社への移管（合弁会社設立）

買収の例

CISA社（クロム・インターナショナル・サウスアフリカ社）株式の全取得
ペトロフレックス社（ブラジルの合成ゴムメーカー）の買収
Jinzhou Chemicals Company Ltd.からの酸化鉄顔料製造プラントの買収
グワリオール・ケミカル・インダストリーズ社（インド）の化学品事業・資産の買収
江蘇波力奥加工社（中国）の事業・製造資産の買収
Darmex S.A（アルゼンチンの特殊化学品会社）の買収
DSM社のケルタン エラストマーズ事業の買収
シンジェンタ社の物質保護剤事業とVerichem社の買収
Tire Curing Bladders LLC（タイヤ加硫用ブラダー会社）の買収

事業構造と事業分野

ランクセスAGは、3部門10ビジネスユニット体制を採用しています。

パフォーマンスポリマーズ部門: タイヤ＆スペシャリティーラバーズ、ハイパフォーマンスマテリアル、ハイパフォーマンスエラストマーの3つのビジネスユニットで構成。自動車タイヤ、ベルト、ホースなど幅広い製品に使用される合成ゴムを製造しています。低転がり抵抗タイヤにも使用されるSSBRやNd-PBRなどの製品も開発しています。
アドバンスト中間体部門: アドバンスト工業化学品とサルティゴの2つのビジネスユニットで構成。農薬、顔料、自動車部品など、多様な工業分野向けの化学品を製造しています。
* パフォーマンスケミカルズ部門: 機能性化学品、無機顔料、液体高純化テクノロジーズ、皮革用化学品、物質保護剤、ラインケミーアディティブスの6つのビジネスユニットで構成。ゴム、潤滑剤、プラスチック業界向けの特殊化学品などを製造しています。

経営体制

ランクセスAGは、ドイツの株式会社法に基づき、経営委員会と監査委員会の2つの委員会で構成される経営体制を採用しています。経営委員会は会社の日常業務を監督し、監査委員会は経営委員会の業務を監視しています。

日本における事業

日本法人のランクセス株式会社は、世界各国の生産拠点から化学品を輸入し、日本の顧客に販売しています。特にタイヤメーカー向けのブチルゴム分野では世界有数のシェアを誇ります。東京、豊橋、姫路に事業所を構え、多様な製品を日本の顧客に提供しています。2015年には、ランクセス株式会社とラインケミージャパン株式会社が経営統合されました。

まとめ

ランクセスAGは、長い歴史と技術革新、そして積極的な事業展開により、世界的な特殊化学品メーカーとしての地位を確立しました。今後も、持続可能な社会の実現に貢献するべく、イノベーションを続けると考えられます。

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