リテール

リテール（小売）とは

リテール（英：retail）とは、一般消費者（個人）向けの「小売」を意味する言葉です。対義語はホールセール（wholesale）で、こちらは「卸売」を指します。

リテールの概要

リテールは、衣料品、金融商品、パソコンパーツなど、幅広い分野で用いられます。例えば、「衣料のリテール部門」「金融のリテール部門」「自作パソコンのリテール品」といった具合です。

りそな銀行が目指す「リテールバンク」のように、顧客視点を重視する意味合いでリテールという言葉が使われることもあります。また、かつてのみずほ証券（現・新光証券に吸収合併）が機関投資家専門であったため「ホールセール証券」と称し、個人投資家向けの新光証券やみずほインベスターズ証券を「リテール証券」と呼んで区別していました。

インターネットがリテールに与えた影響

従来の商慣習

従来、製造会社が直接一般消費者に販売することは一般的ではありませんでした。製品は卸売業者、代理店、ディストリビューターなどを経由し、小売店に並んで消費者の手に渡るのが一般的でした。商品や業界によっては、小売店に並ぶまでに複数の業者を経由することも珍しくありませんでした。

この方法には、製造会社にとって以下のようなメリットがありました。

販売業務を外部に委託できる
生産計画に基づいた量を製造し、卸売業者に引き渡すことで代金を回収できる

しかし、消費者や小売店（特に小規模な）にとっては、卸売業者の中間マージンが販売価格に上乗せされるというデメリットがありました。

インターネットによる変化

インターネット普及以前にも製造業者自らがリテールを行うケースはありましたが、ごく少数でした。しかし、インターネットの普及により、一般消費者向け製品を製造する企業が積極的にリテールを行うようになりました。

製造業者にとっては、個別の受注や発送業務といった新たな作業が発生しますが、中間マージンをカットすることでより安価に販売することが可能になります。また、1990年代からの長期不況という時代背景も、消費者が安価な商品を求めるようになり、この販売形態を後押ししました。

アンテナショップからオンラインへ

かつては、アンテナショップを開設して消費者の反応を観察することが行われていましたが、立地や採算性の問題から長期的な運営は困難でした。しかし、インターネットを通じて製造業者自らがリテールを行うことで、消費者と直接向き合うことができるようになりました。直接会話を好まない消費者でも、メールやウェブページを通じて活発な意見交換が可能になったのです。

課題と模索

しかし、製造業者による従来の商慣習を変革する動きに対し、卸売業者やインターネット販売部門を持たない小売店からは不満の声が上がりました。長年続いてきた製造会社と卸売業者、卸売業者と小売店の関係を維持したいと考える製造業者も多く、新たなリテール形態と既存の商慣習をどのように調和させるかという課題は、各企業の企業風土や人的な問題を考慮しながら模索され続けています。

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