レグルス

レグルス (Regulus) の詳細

レグルスは、しし座のα星であり、全天で21ある1等星の中で特に際立っています。参照される際、しばしば「しし座の王」とも呼ばれるこの恒星は、明るさこそ他の1等星に比べて最も暗いものの、航海における位置決定の基準星として重要な役割を果たしています。

連星系としてのレグルス

レグルスは実は4つの星からなる非常に複雑な連星系を形成しています。これらの星はそれぞれ2つのペアに分かれて互いに回っています。中央の主星は、B型主系列星または準巨星に該当し、水素核融合の段階にあると言われています。さらに、主星からわずか0.35天文単位（au）離れた距離に、質量が太陽の約0.3倍の白色矮星が存在し、40.11日の周期で共通重心の周りを回っています。興味深いことに、この伴星の質量は白色矮星の下限値を下回っていますが、これはすでに進化過程において物質が主星に移行したことが要因とされています。

別のペアとして「HD 87884」と呼ばれるK型主系列星とM型の赤色矮星があります。これらは少なくとも97au離れた軌道を880年以上かけて周回しています。全体的に見ると、レグルスの星系は少なくとも4200au離れており、125,000年の周期で周回していると考えられています。

レグルスの形状

近年、カリフォルニア州ウィルソン山天文台での観測によって、レグルスの形状が判明しました。光学干渉計による観察から、レグルスは高速で自転しており、その結果赤道部分が膨れ上がっています。このため、赤道半径は極半径よりも30%大きく、極の温度が15,100℃であるのに対し、赤道部分は10,000℃にまで下がります。このため、極が赤道部分よりも5倍明るいという結果が出ています。

レグルスの自転軸は天の北極から86度傾いており、自転速度は秒速300km（時速108万km）を超えています。自転周期は約15.9時間です。もし自転速度が16%速くなれば、遠心力が重力を上回り、レグルスは崩壊してしまうでしょう。

レグルス食の現象

レグルスは黄道に非常に近い位置にあるため、定期的に月による食現象（掩蔽）が観測されます。また、稀に惑星による食現象も発生します。最近では1959年7月7日に金星によるレグルス食が発生しましたが、次の惑星による食は2044年10月1日に予定されています。このような現象は、今後2000-3000年間は他の惑星においては発生しないとされています。

名称と歴史

学名のAlpha Leonis（略称：α Leo）は、レグルスを指し、ラテン語で「小さな王」という意味です。この名はシュメールやバビロニアの時代から引き継がれ、古代ローマでは「王の星」と著されました。レグルスという名称は1522年に初めて文献に登場し、その後も様々な天文学的資料で用いられるようになりました。2016年には国際天文学連合によってレグルスがしし座α星の正式名として承認されています。

また、別名のコル・レオニス（Cor Leonis）は、「獅子の心臓」という意味で、古い呼び名から派生しています。

備考

レグルスに関する歴史的記録として、13世紀末の『伏見院御記』に「木星が軒轅女主星（しし座α星）を犯す」と記載されていることが挙げられます。

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