万里

万里(Wan Li)



万里(ワン・リー、1916年12月1日 - 2015年7月15日)は、中華人民共和国政治家であり、鉄道部長、中国共産党中央政治局委員、国務院副総理、同常務副総理(第一副首相)、そして第5代全国人民代表大会常務委員長などの要職を歴任しました。彼はまた、旧メンバーからの入れ替わりを経て、中共八大元老の一人としても知られています。

生涯



1916年、万里は山東省東平県の貧しい家庭に生まれました。1936年に山東省立第二師範学校を卒業後、中国共産党に入党。1940年頃から地方の要職を経験しました。中華人民共和国が建国された1949年以降は中央政府に入り、都市建設の分野で才能を発揮します。1958年からは北京市党委員会書記処書記、副市長などを務め、彭真のもとで北京市政に深く関わりました。しかし、1966年文化大革命が始まると、彭真と共に失脚を余儀なくされます。

1973年、万里は北京市党委書記・革命委員会副主任として政界に復帰。1975年には鉄道部長に任命されますが、翌1976年鄧小平が3度目の失脚をした際、万里も解任されました。1977年には安徽省党委第一書記に就任し、在任中には生産責任制を積極的に推進。「食糧が欲しければ趙紫陽を、米が食べたければ万里を探せ」という言葉が広まるほど、その手腕は高く評価されました。

鄧小平改革開放政策を支持した万里は、1980年4月に国務院副総理に抜擢され、同年9月に趙紫陽内閣が発足すると、常務副総理(第一副首相)に昇格します。1982年の第12回党大会では、中央政治局委員、中央書記処常務書記に選出されました。

1987年の第13回党大会では、万里の中央政治局常務委員入りが議論されましたが、姚依林の反対や陳雲の同意により、鄧小平の推薦も撤回されました。また、趙紫陽が党大会で国務院総理を辞任することを海外記者に告げ、後継者に自分より若い者を指名すると明言したため、副総理の中で趙紫陽より若かった李鵬と田紀雲の総理就任の可能性もなくなりました。1988年3月、万里は全国人民代表大会常務委員長に選出されています。

1989年4月以降、学生による民主化運動が高まりました(詳細は六四天安門事件を参照)。5月10日に出席した党中央政治局会議において、万里は全人代常務委員会に政府廉政(清廉政治)委員会を設立することを提案。5月17日には、訪問先のカナダで、天安門広場での学生運動を愛国的行動と認める談話を発表したと新華社が伝え、戒厳令に反対する側に期待感が広がりました。

しかし、党指導部と学生の対立が深刻化する中、万里は予定を繰り上げて帰国したものの、帰着先は北京ではなく上海でした。新華社は病気療養と報じましたが、実際には党中央が万里に上海で休養するよう指示していました。その後、楊尚昆江沢民を使って説得し、5月27日、万里は一転して党中央の支持を表明しました。

天安門事件後、趙紫陽が総書記を解任され、江沢民が後任となると、彭真は中央の経験がない江沢民の総書記就任に不安を覚え、かつての部下であった万里を総書記に推したとされています。しかし、万里は当時すでに高齢(73歳)であり、全人代常務委員長に就いていたため、この案は見送られました。1993年3月、万里は政界を引退しました。

2009年8月には、「国慶節60周年前夜、ある古参同志の談話」と題された文章が発表され、その内容は党内の最高指導層にいた元老と中央党校の若い教授が4回にわたって行った対話がまとめられたものでした。題名にある「古参同志」とは万里のことを指すという見方があります。2015年7月15日、万里は北京で病没。98歳でした。

主な職歴



1950年6月 - 1954年9月:西南軍政委員会財政経済委員会委員
1952年11月:中央人民政府建築工程部副部長
1954年 - 1955年4月:国務院建築工程部副部長
1955年4月:国務院都市建設総局局長
1956年5月 - 1958年2月:都市建設部部長
1958年3月 - 1966年10月:北京市党委書記処書記
1958年8月 - 1966年6月:北京市副市長
1959年9月 - 1977年11月:北京市政治協商会議副主席(第2期 - 第4期)
1973年5月 - 1975年1月:北京市党委書記、市革委会副主任
1975年1月:鉄道部部長
1977年6月:安徽省党委第一書記
1978年1月 - 1979年12月:安徽省革命委員会主任、省軍区政委
1980年4月 - 1988年4月:国務院副総理、国務院常務副総理(第一副首相)
1980年2月 - 1982年9月:党中央書記処書記
1980年8月 - 1982年5月:国家農業委員会主任・党組書記
1982年:第12期党中央政治局委員、中央書記処常務書記
1987年:第13期中央政治局委員
1988年:第7期全国人民代表大会常務委員長

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