三柿野駅

三柿野駅（みかきのえき）

三柿野駅は、岐阜県各務原市蘇原三柿野町に所在する名古屋鉄道各務原線の駅です。駅番号はKG06が付与されています。この駅は、川崎重工業航空宇宙システムカンパニー岐阜工場をはじめとする航空関連の重要施設が近接しており、その最寄り駅としての役割を担っています。

歴史の変遷

三柿野駅の歴史は古く、大正時代の1926年1月21日に各務原鉄道の「補給部前駅」として産声を上げました。開業当時は終着駅であり、現在の位置よりも岐阜方面へ約400メートル離れた場所に設けられていました。その後、同年7月には「各務野駅」（二代目）と名称を変え、翌月には路線の延伸により中間駅となります。さらに1931年6月27日には「各務補給部前駅」に改称されると共に現在地へと移転しました。1935年には名岐鉄道、次いで名古屋鉄道の駅となり、同時に「航空廠前駅」と名を変えます。現在の駅名である「三柿野駅」に改称されたのは1938年12月1日で、これは戦時下の防諜を目的としたものでした。第二次世界大戦末期の1945年6月22日には各務原空襲により駅舎が被災するという被害も経験しています。戦後、1958年にはかつて存在した駐留軍側線が廃止されました。近年では、共通SFカードシステム「トランパス」の導入に伴い2007年3月14日に駅舎が改築され、2011年2月11日からはICカード「manaca」の利用が可能となりました。トランパスは2012年2月29日に供用を終了しています。ダイヤ改正に伴う変化もあり、2021年5月22日には当駅を発車するミュースカイの設定がなくなり、2024年4月13日からは駅係員が配置されない終日無人駅となりました。

駅の構造と設備

当駅は地上にあり、2つのホームと3本の線路を持つ2面3線構造です。具体的には、単式ホームが1面1線、島式ホームが1面2線配置されており、いずれも6両編成に対応しています。駅集中管理システムが導入されており、無人駅として運営されています（管理業務は名鉄岐阜駅が行います）。2024年4月12日までは窓口での対面サービスも提供されていました。改札口は1番ホームの六軒方面端に1箇所のみ設けられています。改札付近には自動券売機と自動精算機が各1台設置されており、ICカードへのチャージや定期券の購入も可能です（クレジットカード利用時間には制限があります）。各務原線の中間駅としては珍しく折り返し機能を有していますが、犬山方面へ折り返す列車は、一旦本線上でスイッチバックを行い、渡り線を使ってホームに入線するという特殊な入換作業が必要です。これは、犬山方面からの列車が3番線にしか入線できず、かつ3番線には岐阜方面への出発信号機しかないためです。

かつて、当駅からは陸軍各務原飛行場（現在の航空自衛隊岐阜基地）への専用線が分岐しており、JR高山本線の那加駅と名鉄各務原線の新那加駅を結ぶ連絡線を経由して貨物輸送が行われていました。戦後アメリカ軍が使用した時代には、特定の機関車が用いられ、占領軍専用ながら旅客輸送も行われたという記録が残っています。

ダイヤの特徴

過去のダイヤにおいては、2003年3月改正まで犬山発着列車が当駅で種別を変更していました。また、2023年3月改正までは最終の岐阜行き普通列車が当駅から急行運転に変わる設定もありました。各務原線内では唯一待避設備があるため、かつては上り急行列車が普通列車を追い越す光景が見られましたが、現在の定期ダイヤでは列車の追い越しは行われていません。ただし、臨時列車が運転される際には当駅での追い越しが実施されることがあります。2023年3月改正以降、定期列車はワンマン運転の普通列車（4両編成）のみでしたが、2024年3月改正からは2両編成の列車も加わりました。日中の半数および夜間時間帯の列車は引き続き当駅で岐阜方面に折り返す運行形態となっています。

かつては平日朝に当駅始発の東岡崎行き普通列車や、土休日朝に当駅始発の岐阜行き普通列車が設定されていました。また、夕方には当駅と名鉄岐阜駅の間で折り返す普通列車が毎時数本運行されていた時期もあります。さらに以前は新岐阜駅（現：名鉄岐阜駅）方面への準急や、常滑方面行きの特急（後の高速）も停車していました。2021年5月改正までは、平日朝に当駅を始発とする上り（名鉄名古屋方面）のミュースカイも存在しました。この列車は前夜に回送され、犬山駅で他の編成と増結して運転されていました。

2021年10月30日のダイヤ改正では、日中の名鉄岐阜駅からの普通列車が半数当駅で折り返すようになり、この時間帯の犬山方面への運行本数は毎時2本に減少しました。また、日中の急行運転はこの改正で廃止されました。そして、2023年3月の改正では急行が全廃され、夜間時間帯も当駅での折り返し運行が中心となっています。

航空祭開催時の賑わい

駅に隣接する航空自衛隊岐阜基地では、毎年秋に大規模な航空祭が開催されます。このイベントには多くの航空ファンが訪れ、三柿野駅はその重要なアクセス手段となります。航空祭当日の午前中には、通常は新鵜沼駅で折り返す快速特急、特急、ミュースカイ、急行、準急といった優等列車が特別に当駅まで延長運転され、来場者の輸送に対応しています。以前は広見線系統の急行や準急も行先を変更して当駅まで乗り入れていましたが、近年は主に三柿野駅と犬山・名鉄岐阜駅間の普通列車を増発・増結することで対応しています。

利用状況と地域における位置づけ

三柿野駅は、名鉄各務原線の中でも名鉄岐阜駅、新鵜沼駅に次いで3番目に利用者の多い駅として知られています。これは、周辺に川崎重工業や航空自衛隊岐阜基地、各務原市民会館、県立各務原高校、テクノプラザといった大型施設や企業、教育機関などが集積しているためと考えられます。近隣にはJR高山本線の蘇原駅も存在しますが、名鉄の運行本数の多さなどが利用傾向に影響を与えています。また、当駅より西側の各務原線沿線から名古屋方面へ向かう場合、名鉄岐阜駅を経由する方が所要時間が短いことから、利用者の流動が変わる地点でもあります。

駅周辺

駅前は比較的狭い生活道路に面しており、上空には国道21号線の高架橋が通っています。周辺には前述の各施設のほか、バス停も設置されており、テクノライナーや各務原市ふれあいバスなどが運行され、地域内の移動を支えています。

三柿野駅は、その歴史、航空関連施設へのアクセス、そして地域の交通拠点としての役割を通じて、各務原市の発展と共に歩んできた駅と言えるでしょう。

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