上田氏

上田氏の成り立ちと歴史

上田氏（うえだし）は、日本の氏族の一つであり、その起源は大江氏にさかのぼります。特に著名な家系としては、以下の系統が存在します。まずは、鎌倉時代の初代政所別当である大江広元の孫、佐房を祖とする系譜。次に、武蔵七党に属し、特に西党と関わりのある中世の武士層。また、近世には広島藩の家老職を歴任し、後に華族として男爵家となった家族があります。さらに、上田有沢という陸軍大将の功績により華族の男爵に叙せられた家も存在します。

大江氏系の上田氏

大江氏系の上田氏は、鎌倉幕府初代政所別当の大江広元の孫である佐房を祖とします。承久の乱において、広元の長男である京都守護の大江親広は朝廷軍に属した一方、佐房は幕府側に与し、木曽川の先で朝廷軍を相手に戦功を挙げました。この戦の成果として、上田氏は信濃国上田荘を与えられ、佐房が上田氏の初代となりました。しかし、佐房の孫である泰広は、弘安8年の霜月騒動において22歳で戦死し、氏の歴史は悲劇的なスタートを切ることとなります。

武蔵七党の上田氏

武蔵七党に属する上田氏は、特に扇谷上杉氏の家臣としての系譜を持ちます。「松陰私語」には、戦巧者として「道灌父子」や上田氏・三戸氏・萩野谷氏の名が記されています。上杉方から北条方に寝返った上田政盛は、上田氏の嫡流の一部にあたります。また、庶流もあり、松山城を治めた上田氏は、代々上野介を称していました。「鎌倉大草紙」では、上杉禅秀の乱の際、禅秀方で戦死した上田上野介の名が見なされます。これらの記録は、上田氏がいかにして時代を超えて名声を築いてきたかを示しています。

広島藩家老家と男爵家の上田家

江戸時代における広島藩の家老家として栄えていた上田家は、近代において華族の男爵家に昇格しました。元々信濃小笠原氏の一族と称された上田家は、尾張国愛知郡星崎に移住し、丹羽長秀の家臣となっていました。上田重安の代には浅野長晟に仕官し、重安は剃髪後に宗固と号し、茶道においても名を馳せました。また、その子孫は広島藩の家老職を維持し、1万7000石を知行しました。ただし、後の華族令においては、上田家は士族のままとされましたが、最終的に明治33年に亀次郎が男爵に叙せられました。

上田有沢男爵家

上田有沢男爵家は、華族に叙せられた陸軍大将の家庭で、発展の過程を辿ることができます。有沢は徳島藩士上田秀高の子として生まれ、明治初年に陸軍に入隊し、さまざまな戦役で武功を挙げました。特に日露戦争では、陸軍大将として活躍し、明治40年に男爵に叙せられました。彼の子孫である上田兵吉もまた、陸軍での功績を残し、その後の家族は陸軍軍人としての道を歩みました。上田男爵家は、昭和前期に東京市渋谷区千駄ヶ谷に居住し、家族の繁栄を見守ることとなります。

上田氏の歴史は、武士や藩士としての活動を経て、近代において華族としての地位を確立するまでの長い道のりがありました。その背景には、さまざまな戦争や政変といった歴史の影響を受けながら、氏族としての名声を維持してきたことが見て取れます。

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