与野駅

与野駅（よのえき）

埼玉県さいたま市浦和区上木崎一丁目に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）が運営する駅です。駅には「JK 45」の駅番号が付与されています。

乗り入れ路線

線路名称上は、この駅は東北本線および武蔵野線（大宮支線）の書類上の分岐駅とされています。しかし、旅客列車として停車するのは京浜東北線の電車のみです。同じ線路を走る宇都宮線や高崎線（上野東京ライン）、湘南新宿ラインの列車はホームがないため通過します。

武蔵野線大宮支線は、主に貨物列車が使用する区間であり、当駅には旅客の乗降設備がありません。そのため、この支線を経由する「むさしの号」や「しもうさ号」といった武蔵野線の旅客列車も停車しません。

歴史

与野駅の始まりは、1906年（明治39年）に浦和駅と大宮駅の間に開設された大原信号所です。同年、信号所は国有化され、1909年には東北本線に属することになりました。駅への昇格は、1911年（明治44年）に当時の与野町民による熱心な請願活動が実を結び、翌1912年（大正元年）11月1日に與野停車場として開業しました。開業当初は与野町民の利便を考慮し、西口のみが設けられました。駅名は木崎村との境界付近に位置したことから議論がありましたが、「与野駅」に落ち着きました。開業時の「與野」表記は後に使われなくなります。

駅は貨物や荷物の取り扱いも行っていましたが、それぞれ1959年（昭和34年）と1970年（昭和45年）までに廃止されました。施設の改良も進み、1958年（昭和33年）には東口が開設、1960年（昭和35年）には線路上に駅舎を設ける橋上駅舎化が完了しました。1973年（昭和48年）には武蔵野線貨物支線が開業しています。1987年（昭和62年）4月1日には国鉄分割民営化に伴い、JR東日本の駅となりました。

その後の設備近代化として、1992年（平成4年）に自動改札機が導入され、2001年（平成13年）にはICカード「Suica」の利用が可能に。駅の運営体制は、2013年（平成25年）にみどりの窓口が営業を終了し、業務委託駅となりました。新しい設備としては、2020年（令和2年）12月9日にスマートホームドアの使用が開始されています。

駅構造

与野駅は、ホームが一つで両側に線路がある島式ホーム1面2線を持つ地上駅で、線路上に駅舎がある橋上駅舎構造です。京浜東北線のホーム西側には、東北本線の旅客線や貨物線が複数並行しており、さらにその西には大宮操車場への引き込み線も見えるなど、多くの線路が敷設された区間です。

駅の運営は、JR東日本ステーションサービスがさいたま新都心駅から受託する業務委託形式で行われています。改札内・外には自動改札機、指定席券売機が設置されているほか、コンビニエンスストアやATMなどの設備があります。

のりば

発車メロディ

2007年10月1日以降、1番線ではさいたま市の歌である『希望（ゆめ）のまち』が発車メロディとして使用されています。それ以前は、他の駅でも使われていた数種類の汎用メロディが使われていました。

利用状況

2023年度（令和5年度）の1日平均乗車人員は25,009人でした。2000年（平成12年）に、当駅からほど近い場所にさいたま新都心駅が開業した影響で、一時的に利用客が分散し減少しましたが、その後は回復傾向にあります。ただし、埼玉県内に位置する京浜東北線の駅の中では、最も乗車人員が少ない駅となっています。

駅周辺

西口エリア

与野駅は、かつての旧与野町の中心市街地からやや離れた場所に設置されたため、駅と市街地を結ぶ埼玉県道119号与野停車場線（駅前通り）が早くから発展しました。京浜東北線の開業や国道17号の開通も後押しし、西口側には商店街や住宅地が形成されました。

しかし、1985年の埼京線開業や、周辺駅・さいたま新都心での大型商業施設の集積により、近年は駅前通りの商業的な空洞化が進んでいます。こうした中でも、毎年夏には与野夏祭り、秋には与野駅開業にちなんだ大正時代まつりが開催され、賑わいを見せます。

西口側では、1990年代以降に本格的な区画整理・再開発事業が進められ、高層マンションや商業施設、交通広場などが整備されました。現在、周辺にはさいたま市中央区役所、与野郵便局、スーパーマーケットなど、様々な施設が立地しています。

東口エリア

東口側は、埼玉県道164号鴻巣桶川さいたま線（旧中山道）が近くを通り、戸建て住宅や中小規模の集合住宅、商店が混在する地域です。ここは浦和区に属しますが、与野駅が最寄りのため、「与野店」と名の付く店舗も見られます。駅前広場は狭く、拡張計画があるものの、実現には至っていません。

東口側の主な施設には、埼玉県立浦和西高等学校や、さいたま市関連の施設などがあります。駅から東へ延びる埼玉県道120号は、「西高通り」と呼ばれ、浦和西高校の略称に由来しています。

バス路線

現在、与野駅から路線バスが発着するのは東口のみです。かつては西口にもバス路線がありましたが廃止され、東口の乗り場も駅前ロータリーから旧中山道上の停留所へ移設されています。主に国際興業バスが運行し、さいたま新都心駅東口や北浦和駅東口方面への路線が利用できます。

その他

与野駅が現在の浦和区（旧木崎村）にあるにもかかわらず「与野駅」という名前になった背景には、旧与野町に接していたこと、そして町民の請願活動が駅設置の大きな要因となったことがあります。

東口側の「西高通り」のように、さいたま市内には学校名に由来する通称を持つ道路がいくつかあります。例えば、北浦和駅東口近くの「浦高通り」は、浦和高校にちなんで名付けられています。

また、東口側の旧中山道沿いには、かつて「大原（与野駅）の大ケヤキ」と呼ばれる大きなケヤキの木がありましたが、残念ながら2010年に伐採されました。その木の一部は、現在も駅コンコースに展示されています。

隣の駅

東日本旅客鉄道（JR東日本）
京浜東北線
■快速・■各駅停車
さいたま新都心駅 (JK 46) - 与野駅 (JK 45) - 北浦和駅 (JK 44)

武蔵野線貨物支線（大宮支線、東北本線直通旅客列車は全列車通過）
西浦和駅 (JM 27) - （別所信号場） - 与野駅 (JK 45)

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