中川政七商店

株式会社中川政七商店：伝統と革新を紡ぐ老舗

株式会社中川政七商店は、享保元年（1716年）に奈良で創業した、生活雑貨および工芸品の製造・小売業を営む企業です。その歴史は300年以上に及び、伝統的な工芸技術を継承しながらも、時代の変化に対応した革新的な取り組みを続けています。

「日本の工芸を元気にする！」という理念

同社は「日本の工芸を元気にする！」という明確な理念を掲げ、工芸品に関わるメーカーや産地が、補助金に頼らずに自立した経営を確立することを目指しています。そのために、単に工芸品を製造・販売するだけでなく、コンサルティング事業や地域活性化事業にも積極的に取り組んでいます。工芸メーカーとしての誇りを取り戻し、持続可能な産業構造を構築することが、同社の重要な目標です。

沿革：300年の歴史

中川政七商店の歴史は、初代中屋喜兵衛が奈良晒の問屋業を始めた1716年に遡ります。その後、時代の変遷とともに事業内容を変化させながら、現在に至っています。

1716年：中屋喜兵衛が奈良晒の問屋業を創立。
1898年：奈良晒が宮内省御用達に指定。
1912年：10代目中川政七が機場と晒工場を創建し、事業を再建。
1925年：パリ万博に麻織物のハンカチーフを出展。
1939年：合資会社中川政七商店を設立。
1953年：生産拠点を韓国、中国へ移転。
1973年：茶道具業界へ参入し、取扱商品を増加。
1983年：株式会社中川政七商店を設立。
1985年：麻小物の小売店舗「遊 中川 本店」をオープン。
2002年：中川淳が富士通を退社し入社。生産管理の概念がないことに驚き、企業ビジョンがない状態を打破。
2003年：自社ブランド「粋更kisara」を立ち上げ、SPAの業態を確立。
2008年：13代目中川政七が社長に就任。製造小売業へと業態転換を図り、ポーター賞を受賞。
2010年：新社屋完成。「日本市」「中川政七商店」の2ブランドを発表。
2011年：合同展示会「大日本市」を開催。靴下ブランド「2&9」を発表。
2013年：ハンカチブランド「motta」を発表。東京本店をオープン。
2016年：創業300周年事業として「大日本市博覧会」を開催。東京オフィスを設立。
2018年：千石あやが社長に就任。

事業内容：多角的な展開

中川政七商店は、以下の３つの事業を軸に多角的な活動を展開しています。

1. 製造小売事業
生活雑貨の企画・製造：全国の工芸家や生産者と連携し、品質を重視した商品を製造。自社ブランドを複数展開し、「下請け型に頼らないものづくり」を実践しています。
主なブランド：中川政七商店、遊 中川、日本市、motta、2&9、花園樹斎、更麻、茶論、粋更kisara。

2. 教育事業
ブランディング経営に関する講演・教育：同社のコンサルティング事業や地域活性事業の実績に基づいた講演や、経営とブランディング講座、茶道文化を伝える「茶論（さろん）」などを提供。老舗企業のノウハウを共有し、次世代の経営者を育成しています。

3. コンサルティング事業
コンサルティング、卸売・販売支援：他社へのコンサルティングや販路開拓支援、合同展示会「大日本市」の開催などを実施。特に「大日本市」では、生産者と小売店とのマッチングを行い、市場の活性化を図っています。
コンサルティング実績：マルヒロ、堀田カーペット、タダフサ、バッグワークスなど、多数の企業を支援。

地域活性化事業：産地の魅力を発信する

中川政七商店は、産地の活性化を目的としたイベントやメディアの企画・運営にも力を入れています。

大日本市博覧会：工芸産地とのコラボレーションを通じて、工芸の魅力を発信するイベント。各地でワークショップやトークショーを実施しています。
日本市プロジェクト：全国各地の産地で土産物のプロデュースを行い、現地の魅力を発信する取り組み。地域の特色を活かした商品開発で、観光客の誘致に貢献しています。

メディア掲載・書籍

同社の取り組みは、テレビ番組「カンブリア宮殿」でも紹介され、その革新的な経営手腕が注目を集めました。また、関連書籍も多数出版されており、同社の理念や経営手法に触れることができます。

まとめ

株式会社中川政七商店は、長い歴史の中で培われた伝統技術と、時代に合わせた革新的な取り組みを融合させ、日本の工芸を活性化させることを目指しています。その多角的な事業展開と地域活性化への貢献は、他の企業にとっても大いに参考になるでしょう。今後も、同社の活動から目が離せません。

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