中村英一

中村 英一（なかむら えいいち）

中村英一は1947年3月2日、東京都で生まれた元アニメーターおよびキャラクターデザイナーです。彼はシンエイ動画に所属し、日本アニメーター・演出協会（JAniCA）の会員としても知られています。アニメ制作におけるその卓越した技術や独自のスタイルは、多くの作品に影響を与えました。

幼少期とキャリアの始まり

中村の父はタップダンサーであり、彼には一人の姉がいました。少年時代から劇画や絵物語に興味を持ち、将来の夢は漫画家になることでした。影響を受けたアーティストには、さいとう・たかをや平田弘史、石川フミヤス、山川惣治、阿部和助が挙げられます。特に吉川英治の『宮本武蔵』を読むことで、彼は漫画の制作に対する思いを強くしました。

高校卒業後は日本出版販売で働くも、新聞広告で見たアニメーター募集に心を惹かれ、Aプロダクション（現在のシンエイ動画）に応募します。1966年、彼は一期生として採用され、アニメーションの世界に足を踏み入れました。厳しい選考を勝ち抜いた際の同期には須田正己や人見倫平がいましたが、彼らはすぐに職場を離れ、中村は一人で技術の向上を図ります。

ドラえもんとの出会い

中村は、東映動画出身の先輩たちから学びつつ、多数のアニメ作品で原画を担当しました。1976年にはAプロダクションがシンエイ動画に改組されることとなり、多くの仲間が独立しましたが、中村は本多敏行とともにシンエイ動画に留まる道を選びました。彼はアニメ『ドラえもん』のパイロットフィルム『ドラえもん 勉強べやのつりぼり』の設定や作画監督を担当し、その後、テレビシリーズにおけるメインスタッフとしても大きく貢献しました。特に、トミプロダクションの富永貞義と共に『ドラえもん』の制作を長年にわたり支えました。

シンエイ動画では作画部長を務め、アニメーターたちに対して管理や指導を行いました。若いアニメーターたち、例えば大塚正実や渡辺歩に多くの影響を与え、その技術を引き継がせました。また、原恵一が演出を担当する際には、意見の対立があったアニメーターとの調整にも奔走しました。

引退と復帰

60歳を迎えた2007年、定年退職を勧告された中村は、『正義のヒーロー スーパージャイアン』を最後にアニメーターとしてのキャリアを終えました。その後、彼は長年患っていた右手の腱鞘炎に悩まされ、プライベートで絵を描くことも少なくなりました。

しかし、2024年には日中合作アニメ『小さなジャムとゴブリンのオップ』に参加し、アニメーターとしての復帰を果たしました。これにより、彼のアニメ制作に対する情熱と影響力が再び注目されることとなりました。

影響を与えた作品

中村は数多くの作品への参加がありました。主な出演作品として、テレビアニメ『オバケのQ太郎』や『パーマン』、『ドラえもん』シリーズは特に有名です。また、劇場映画においても『パンダコパンダ』や『ドラえもん のび太の恐竜』など、多くの重要な作品に関わりました。彼のキャリアは、日本のアニメーションを支える大きな柱となったことは間違いありません。

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