久宝寺

久宝寺（きゅうほうじ）

久宝寺は、大阪府八尾市西部に位置する地域です。近鉄大阪線とJR大和路線、府道大阪中央環状線、長瀬川に囲まれたエリアにあります。この記事では、八尾市に合併される前の旧久宝寺村の地域について解説します。

歴史

近代以前

久宝寺の地名は、古代・飛鳥時代に聖徳太子が創建したとされる「久宝寺」に由来しますが、その正確な場所や廃絶時期は不明です。律令制下では河内国渋川郡に属していました。

鎌倉時代には慈願寺が創建され、室町時代には安井氏がこの地を領有しました。戦国時代には、本願寺第八世蓮如が布教活動を行い、西証寺（後の顕証寺）を創建。周囲に環濠を巡らせた寺内町を形成しました。石山合戦では、安井氏が織田信長方に味方したため、寺内町の一向宗徒と対立。安井氏は討たれましたが、石山本願寺の陥落により一向宗も衰退しました。その後、安井氏は豊臣氏、徳川氏に仕え、領地を安堵されています。

江戸時代初期には、浄土真宗の東西分裂を背景に、久宝寺でも安井氏と一部住民が対立。森本行誓ら17人衆が慈願寺と共に久宝寺川東の荒地に移住し、「八尾寺内町」を形成しました。これが現在の八尾市の中心部となっています。

近代以降

1889年（明治22年）：町村制施行により、久宝寺村、顕証寺新田、三津村新田が合併し、渋川郡久宝寺村が発足。
1896年（明治29年）：郡の統廃合により、中河内郡久宝寺村となる。
1910年（明治43年）：大字顕証寺新田、三津村新田を顕証寺、三津村に改称。
1948年（昭和23年）：久宝寺村などが合併し、八尾市となり、中河内郡から離脱。

地理

久宝寺は、久宝寺寺内町を中心に発展した地域で、古い民家や商家が多く残っています。一部は工業地や緑地公園となっています。

長瀬川が地域の東側から北へ流れています。この川は、かつて大和川の本流だった久宝寺川が付け替えられた後の井路川水路であり、顕証寺新田と三津村新田の境界をなしています。

交通

道路
東西：八尾街道（府道大阪港八尾線）
北：北八尾街道（府道大阪八尾線）
南：木ノ本、藤井寺方面への街道（旧大阪中央環状線）
近畿自動車道：八尾インターチェンジ
大阪府道2号大阪中央環状線
鉄道
地域内に鉄道は通っていませんが、近鉄大阪線（久宝寺口駅）とJR関西本線（大和路線）（久宝寺駅）が最寄り駅です。

主な施設・旧跡

久宝寺：地域の名称の由来となった寺院。
久宝寺寺内町：顕証寺を中心に発展した寺内町。中継地点として栄え、戦国時代から江戸時代にかけて多くの人々が集まりました。環濠や土居の一部が現在も残っています。碁盤目状の町割りや一方通行の多い道が特徴です。
顕証寺：通称「久宝寺御坊」。文明11年（1479年）に「西証寺」として創建され、後に顕証寺と改称。
寺内町ふれあい館：久宝寺寺内町に関する郷土資料館。
久宝寺城址：畠山満基の長子、渋川満貞の居城と伝えられています。
発願寺、念仏寺：地域に根差した寺院。
許麻神社：延喜式神名帳に記載されている式内社。渡来系の祖神を祀ったとされています。
八尾市立久宝寺中学校、八尾市立久宝寺小学校：地域の教育機関。
八尾徳洲会総合病院：地域医療を支える病院。
八尾久宝寺4郵便局：郵便・金融サービスを提供。
西久宝寺、北久宝寺、東久宝寺、神武町、南久宝寺、渋川町：それぞれの地域に特徴があります。
久宝寺[[緑地]]：大阪府が運営する緑地公園。市民の憩いの場。
八尾市役所久宝寺出張所・久宝寺コミュニティセンター：地域の行政・交流拠点。
ホシデン本社工場、クボタ久宝寺工場、松本油脂製薬本社工場：地域の産業を支える企業。

関連項目

大阪府の廃止市町村一覧
久宝寺遺跡

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