事後強盗罪

事後強盗罪の解説

事後強盗罪（じごごうとうざい）は、刑法第238条によって定められた犯罪で、窃盗を行った者がその逃走過程で暴力や脅迫を行うことに関するものです。この罪が成立する背景には、被害物件の取り返しを試みる者や、逮捕しようとする者に対する強制的な行為があるため、強盗と同様の扱いがされます。

事後強盗罪の意義と性格

事後強盗罪の意義や性格については学説の間で様々な見解があります。一部の学者は、窃盗犯が逃走中に発生する暴行や脅迫は人身保護の観点から強盗と同じとみなすべきと主張しています。この場合、未遂犯も本罪に含まれるとされ、実行行為として暴行・脅迫が明確に関与することが求められます。

また、別の見解では、本罪は不真正身分犯とされ、暴行・脅迫が無ければ成立しないとされることもあります。この場合、窃盗が既遂として完了しなければ事後強盗罪は成立しません。さらに、ドイツの刑法と比較すると、ドイツの強盗的窃盗罪は窃盗の共犯を含む場合があるため、違いが認識されています。

主要な解釈

目的

判例や通説によると、事後強盗罪は目的犯とされており、被害者が財物を取り返そうとしたり、加害者を逮捕しようとする行為の有無に関係なく成立します。さらに、逮捕を免れた場合でも、事後強盗罪は成立するとされています。

暴行・脅迫の内容

事後強盗罪での暴行や脅迫は強盗罪と同じく、反抗を抑圧できる程度のものでなければなりません。また、暴行や脅迫は必ずしも窃盗の被害者に向けられている必要はなく、犯行を目撃した他者への行為でも事後強盗は成立すると判例で確認されています。

事後強盗罪の関連性

暴行や脅迫と窃盗の関連性がなければ、事後強盗罪は成立しないとされます。そのため、事例ごとに時間的や距離的な関連性が重要視され、ドイツの法体系では近接性が要件とされています。

既遂の判断

判例によると、事後強盗罪の未遂と既遂の判断は、窃盗の段階によって決まります。つまり、事後強盗罪が成立するには、窃盗が未遂あるいは既遂であることが前提となるため、これは日本の刑法の特徴の一つといえるでしょう。

事後強盗罪と承継的共同正犯

窃盗犯が事後強盗罪に該当する暴行や脅迫を行った場合、他に加担した者の処断については賛否が分かれます。これに関連する法律上の論争は、事後強盗罪の適用範囲を明確にするための重要な課題となっています。

参考文献

• - 前田雅英　『刑法各論講義-第3版』　東京大学出版会、1999年
• - 西田典之 『刑法各論（法律学講座双書）第四版 』 弘文堂（2007年）

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