仙台フォーラス

仙台フォーラス：街と共に歩んだファッションビルの歴史と未来

仙台フォーラスは、宮城県仙台市青葉区一番町に位置する、イオングループが展開するファッションビルです。1984年、同グループのファッションビル「フォーラス」の1号店として開業し、以来、仙台のファッションシーンの中核を担ってきました。地下3階から地上8階までを擁するその建物は、仙台都心部の中心商店街である一番町アーケード街に立地し、多くの人々にとって馴染み深い存在です。特に、一番町側の入口付近は待ち合わせ場所としても有名で、「フォーラス前」や略称の「ラス前」と呼ばれ親しまれています。

フォーラスがある建物は、全体としては「仙台フォーラス」と呼ばれていますが、その構成は複雑です。地下1階から地上8階まではイオンリテール株式会社が開発、株式会社OPAが運営する仙台フォーラス部分であり、それ以外の部分は仙台観光株式会社が区分所有する一番町センカンプラザとなっています。そのため、営業時間は異なる部分もあり、それぞれのエリアは動線で明確に区切られています。

仙台フォーラスは、仙台市都心部におけるアクセスも抜群です。近隣には多くの高速バスが発着する「広瀬通一番町」バス停があり、東北地方各地からのアクセスが容易となっています。このため、来訪者の県外客比率は平日17％、土日30％に達し、仙台市外からの集客に大きく貢献しています。

仙台フォーラスは、約150の専門店が入居する大型商業施設です。そのうち半数以上はフォーラスが運営していますが、フォーラス以外の事業者も多数出店しています。多様なテナント構成により、幅広い年齢層や嗜好に対応した商品やサービスを提供してきました。

仙台フォーラスの歩み：ジャスコ仙台店からフォーラスへ

仙台フォーラスの歴史は、1975年に開業したジャスコ仙台店に遡ります。このジャスコ仙台店は、現在の仙台フォーラスと同じ場所に位置し、「仙台日活劇場」があった跡地を再開発して建設されました。当時は、仙台駅西口のエンドーチェーン仙台駅前店（現：EBeanS）、一番町四丁目商店街の長崎屋などの総合スーパー（GMS）がしのぎを削る競争が激化していました。

ジャスコ仙台店は、数次にわたる改装を行いながらも、業績向上には至りませんでした。そこで、ジャスコは1984年、若者をターゲットにしたファッションビル「フォーラス」への業態転換を決断します。これが、現在の仙台フォーラスの始まりです。

フォーラスへの転換後も、時代を反映したテナントの入れ替えやフロア構成の変更を繰り返してきました。ディスコブーム時にはディスコが、カラオケブーム時にはカラオケボックスが、ビリヤードブーム時にはプールバーがそれぞれ入居するなど、常に時代のトレンドを取り入れてきました。さらに、仙台放送の生放送番組『夕やけTV編集局』をスタジオとして使用し、仙台のお笑いの拠点としての役割も担っていました。

2000年代に入ると、仙台発着の高速バス路線の拡充により、県外からの来客がさらに増加。仙台・宮城デスティネーションキャンペーン（2008年）に向けたリニューアルでは、ロゴマークの変更や外観の改装、テナントの大幅な入れ替えなども行われました。

休業と未来への展望

2024年3月1日より、建物の老朽化と設備の老朽化に伴う調査のため、長期休業に入っています。建物自体は耐震工事済みですが、ジャスコ仙台店時代からの長年の経過、東日本大震災や地震による損傷も考慮し、安全性を確保するための措置です。閉館や建て替えは予定されていませんが、調査結果に基づいて今後の対応を決めるため、営業再開時期は未定となっています。

長きにわたり仙台の街と共に歩んできた仙台フォーラス。その歴史と、休業を経て迎える未来に、多くの期待と注目が集まっています。

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