仙山トンネル

仙山トンネルの概要

仙山トンネル（せんざんトンネル）は、山形県と宮城県を結ぶ仙山線の一部として位置し、特に奥新川駅と面白山高原駅の間にあります。このトンネルは、全長5,361メートルであり、仙山線で最も長いトンネルです。通称「面白山トンネル」や「仙山隧道」とも呼ばれており、1937年（昭和12年）11月10日に開通しました。開通当時、このトンネルは上越線の清水トンネル、東海道本線の丹那トンネルに次いで、日本で第3位の長さを誇っていました。

トンネルの特徴と評価

仙山トンネルは、標高約440メートルの地点にあり、仙台方面からは3‰、山形方面からは5‰の勾配で上ります。このトンネルは開通以来、多くの交流電化や安全対策が行われ、2014年には「仙山線鉄道施設群」の一部として土木学会選奨土木遺産に登録されました。この群には、複数の橋梁や変電所、歴史的な信号所などが含まれています。

建設の背景

仙山トンネルのルート選定には、奥羽山脈を横断するための適切な地形選びが重要でした。当初は南部の笹谷峠や北部の関山峠を結ぶ「仙神線」も検討されましたが、最終的に仙山線のルートが選ばれました。当時は日本のトンネル掘削技術が確立されていなかったため、鉄道省はこのトンネルの掘削を技術的な試験の場と位置づけました。

工事の詳細

工事は鉄道省の管理の下、最初は盛岡建設事務所と秋田建設事務所が分かれて行っていましたが、1935年には全ての工事が秋田建設事務所に一元化されました。掘削作業は1935年に開始され、1936年9月には貫通を果たしました。その工期は他の工事に比べて非常に速く、1937年12月に完成しました。約50万人の作業員が掘削に従事し、1日あたり平均5メートルの作業量で進められました。

宮城側は湧水の影響が多かったものの、地質が良好だったため掘削は順調に進み、工期は短縮されました。反対に、山形側では粉塵の発生に苦労したものの、約6名の作業員が不幸にも工事中に命を落とす事故も発生しました。トンネル完成後、その功績を称えて東出口に慰霊碑が建設されました。

開通後の歴史

トンネル開通後、1968年に全線が交流電化された背景には、蒸気機関車の煤煙問題の解決がありました。当初は直流電化で運行されていましたが、1955年に交流電化が導入されました。加えて、トンネル内には長いレールが敷設されており、電車で約4分で通過ができます。

特筆すべきは、トンネル内部に面白山信号場が設置されていることで、ここでの列車交換が可能となっています。トンネルの前後は急な勾配と曲線に特徴づけられ、乗客にとってはスリリングな体験を提供しています。

このように、仙山トンネルは技術的な偉業だけでなく、地域交通にとっても重要な役割を果たし続けています。

もう一度検索