関山峠

関山峠：歴史と自然が織りなす交通の要衝

関山峠は、宮城県仙台市青葉区と山形県東根市を繋ぐ峠であり、標高はおよそ630～650メートルです。古くから仙台と山形を結ぶ重要な交通路として利用されてきました。現在では国道48号線が通り、全長890メートルの関山トンネルがその中心となっています。

地理的位置と交通路としての歴史

仙台と山形を結ぶルートとしては、関山峠の他に二口峠、笹谷峠がありました。江戸時代までは、距離が短い二口峠ルートが主に利用されていました。しかし、明治時代に馬車が普及し、1882年（明治15年）に旧関山トンネルが開通すると、関山峠ルートの重要性が増しました。1887年（明治20年）の東北本線仙台開業、1901年（明治34年）の奥羽本線山形開業は、峠の交通路に大きな影響を与えました。

その後、トラック輸送が盛んになると、関山街道や笹谷街道が重要な交通路となり、関山峠はトラック輸送の中心地として発展していきました。関山峠の山形側には、高さ10メートルの関山の大滝があり、ドライブインから容易にアクセスできます。ドライブインの近くには、旧関山トンネル工事の際に起きた事故の慰霊碑も建立されています。一方、宮城県側には、有名な作並温泉があります。

歴史的背景と関山峠の街道

関山峠に街道が開設された正確な時期は不明ですが、峠の東側にある熊ヶ根地区には中世の関所があったという伝承と、関所神社が現存しています。これは、中世からこのルートが存在した可能性を示唆しています。戦国時代には、天童城の城主が関山峠を越えて仙台の愛子に逃れたという記録もあります。

江戸時代には、関山峠に番所が設置され、通行する人々や物資の取り締まりが行われました。仙台藩側は作並宿と峠の登り口に番所を、山形藩側は関山村に番所を設けました。この時代、関山峠を越える街道は、仙台藩側では最上街道、山形藩側では仙台街道などと呼ばれていました。

関山峠は急峻な地形であるため、人々は背負子を使って物資を運搬していました。『不作日気付覚帳』には、1836年（天保7年）の凶作時に、愛子村の人足が山形側から米を背負って仙台側に輸送した記録が残っています。彼らは番所で検査を受け、作並温泉に宿泊したと記されています。これらの記録は、関山峠を越える物資輸送が限られていたことを示しています。

明治時代のトンネル開削と交通量の変遷

明治時代、野蒜築港計画に伴い、広域的な道路整備が計画されました。1878年（明治11年）に山形県は関山峠または二口峠にトンネルを掘削することを提案し、最終的に関山峠での掘削が決定しました。初代山形県令・三島通庸の交通網整備への熱意が、この事業を推進しました。

1880年（明治13年）に着工した関山トンネル工事では、火薬の爆発事故により23名の犠牲者が出ました。1882年（明治15年）に完成した全長287メートルの関山トンネルは、馬車の通行を可能にし、関山街道は仙台と山形を結ぶ主要道路として交通量が増加しました。しかし、1901年（明治34年）以降、奥羽本線の延伸により、関山街道の交通量は減少しました。

自動車の普及に伴い、1937年（昭和12年）には関山トンネルの拡幅工事が行われました。しかし、急カーブと急勾配、土砂崩れや積雪などの影響で通行不能になることもありました。そのため、1963年（昭和38年）に着工し、1968年（昭和43年）に完成した現在の関山トンネル（全長890メートル）が建設されました。旧関山トンネルは近代化産業遺産に指定されています。

関山峠の現在と未来

現在、関山峠は国道48号線の一部として、仙台と山形を結ぶ重要な交通路としての役割を担っています。関山トンネルの開通により、交通の利便性は格段に向上しましたが、歴史的な峠道としての魅力も失われていません。関山の大滝や周辺の自然、そして歴史的な遺構は、多くの観光客を引きつけています。今後も、歴史と自然が調和した魅力的な峠道として、その存在感を保ち続けるでしょう。

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