仙洞御所

仙洞御所（せんとうごしょ）について

仙洞御所は、主に退位した天皇や法皇が住居として使用する施設を指します。元々「仙洞」という言葉は、仙人の住み処を意味し、これが転じて上皇・法皇の御所とされました。また、上皇や法皇の別称としても「仙洞」が用いられています。

概要

仙洞御所は、上皇や法皇が内裏から退去し、移動する際に利用される場所であり、通常は里内裏と呼ばれることもあります。また、仙洞御所には「院」と呼ばれる組織があり、内政を担当する院庁が設置されています。この場所は、歴史的には白河上皇が設けた近衛（北面武士、後の西面武士）が配置されるなど、重要な政務の場として機能してきました。

現在の仙洞御所

2019年4月30日、天皇が退位し、上皇となったことに伴い、千代田区内に「吹上仙洞御所」が設けられ、赤坂御用地が天皇の「赤坂御所」として改称されました。その後、上皇と上皇后は仮住まいとして高輪皇族邸に移転し、これを「仙洞仮御所」としました。2021年に、今上天皇が皇居の吹上仙洞御所に移居し、上皇夫妻は2022年4月に改修を終えた仙洞御所に戻りました。

歴史的背景

仙洞御所の建物は、1930年に竣工し、戦後の1945年に焼失した貞明皇后の大宮御所跡地に建設されました。設計は谷口吉郎が担当し、鉄筋コンクリート製で、御座所棟と事務棟が併設されています。御座所内には、様々な部屋があり、奥には私室も充実しています。1978年、皇子女の成長に伴い増築が行われ、2001年からも改修が続けられました。

京都仙洞御所

京都には別の仙洞御所が存在し、これは1627年に後水尾上皇のために設けられたものです。この場所は、初めて築かれた場所から後に改良が加えられ、庭園などの面でも手が加えられました。建物群は1854年の火災後に再建されず、現在は古い庭や茶亭のみが残る状態です。大宮御所と統合されて、天皇・皇后の行幸の際の滞在施設として利用されています。

まとめ

仙洞御所は、退位した天皇や法皇が住むための重要な御所であり、歴史的にも政治的にも大きな役割を果たしてきました。現在も、その役割は続いており、皇室の生活空間としての意義を持ち続けています。また、京都に存在する仙洞御所も、その文化的価値から重要視されています。これらの御所は、日本の歴史と文化を象徴する場として、今後も大切にされていくことでしょう。

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