里内裏

里内裏の概要と歴史

里内裏（さとだいり）は、平安時代以降、平安宮内裏を除く天皇の在所を指す言葉です。この語の「里」は、平安京内の一区域を示し、ゆえに里内裏は「都の内に置かれた内裏」といった意味合いを持ちます。この制度は天皇が様々な要因で内裏を離れなければならなくなった時期に、特に必要とされました。

平安宮との関係

10世紀後半、平安宮内裏は火災によってしばしば焼失しました。このような事態において、天皇の居所が一時的に他の場所へと移されることは避けられませんでした。最初のころは、後院という場所が仮の皇居として使われました。後院は、天皇が退位した後の居宅として設けられたものでしたが、時にはその役割が別の人に使われることもありました。そのため、天皇外戚の邸宅が里内裏として用いられるケースがありました。

焼失した平安宮内裏は、その都度再建されていきましたが、次第にその再建にかかる時間は長くなっていきました。摂関期においては、平安宮内裏が本来の皇居と認識されており、里内裏を皇居とする事例はあまり見られませんでした。しかし、院政の時代に入ると、平安宮内裏が存在するかどうかに関わらず、里内裏が皇居として一般化することになりました。

京都御所の変遷

現在の京都御所は、かつては里内裏の一つであった土御門東洞院殿に位置しています。この場所は、元々権大納言であった藤原邦綱の邸宅でした。後に、六条天皇や高倉天皇の里内裏を経て後白河上皇の所有となり、さらに長講堂と共に宣陽門院に譲られました。承久の乱後、色々な経緯を経て後深草天皇に引き継がれ、その後は持明院統の治天の君の御所として受け継がれました。

元弘元年（1331年）、後醍醐天皇が都を脱出する際に、幕府に支持された光厳[[天皇]]が土御門東洞院殿を再び里内裏としました。この場所は、その後明治2年（1869年）の東京奠都が行われるまで、実に27代の天皇が居を構えた場所となりました。

さらに、応永8年（1401年）には、以前に火災で焼失したことを受けて、前太政大臣の足利義満が平安宮内裏の機能を模した土御門東洞院里内裏を再建しました。また、安土桃山時代には織田信長と豊臣秀吉によっても整備が進められ、周辺に公家の屋敷を集めた公家町の基礎が築かれ、現在の京都御苑の原型が形成されました。

これ以降も、里内裏は火災に見舞われることがありましたが、その度に再建が行われてきました。現存の建物は、幕末の安政2年（1855年）に平安様式を踏襲して建設されたものです。

関連項目

• - 皇居
• - 大内裏
• - 離宮
• - 高陽院 (邸宅)
• - 仙洞御所

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