伊東園ホテルズ

伊東園ホテルズ：格安温泉旅館チェーンの歴史と特徴

株式会社伊東園ホテルズは、クリアックスグループに属し、東日本エリアを中心に「伊東園ホテルズ」および「伊東園リゾート」ブランドでホテルを展開しています。元々は株式会社スタディー（現親会社）が運営していましたが、2014年に分社化されました。クリアックスグループの主力事業であり、カラオケ店チェーン「歌広場」と並ぶ存在です。

創業と成長の背景

伊東園ホテルズの始まりは、2001年に在日韓国人の李支宗氏が倒産した伊東市の「伊東園ホテル」を買収したことに遡ります。当初は社員研修所として購入しましたが、その後一般向けホテルとして再開業しました。李氏はその後、経営不振の宿泊施設を次々と買収し、格安ホテルとして再生させる手法で事業を拡大しました。その結果、2019年3月には伊豆を中心に、北海道から長野県まで48館の温泉旅館・ホテルを運営するまでに成長しました。

運営体制

伊東園ホテルズは、クリアックスグループ内の株式会社伊東園ホテルズが運営しており、一部は系列の別会社が運営する非直営の施設も存在します。運営会社は2020年に吸収合併された企業が多く、詳細は不明な部分もあります。初期の伊東園ホテルを筆頭に、各地に「伊東園ホテル」を冠する施設を展開しています。近年では、元のホテル名をそのまま継承するケースも増えています。

特徴的なサービス

伊東園ホテルズの最大の特徴は、かつては「365日同一料金1泊2食付」という料金体系でした。シーズン料金を導入しないことで、年間を通して一定の価格で宿泊できることが人気でした。しかし、2017年以降、熱海地区の一部施設からシーズン料金が導入され、その後、全ホテルに拡大されました。また、チェックイン・アウト時間が比較的自由で、無料のカラオケルーム、貸切風呂、インターネット、卓球ルームなどの付帯設備が利用できるのも魅力です。

コスト削減と合理化

格安な宿泊費を実現するため、人件費を徹底的に削減し、仲居を廃止してバイキング形式の食事を提供しています。部屋には布団が予め敷かれており、仕入れや工事の発注も独自のルートで行うなど、従来の温泉街の慣習とは異なる運営を行っています。宿泊施設自体も安価に購入したものが多く、物件によっては建設費の10分の1以下の価格で買い叩いたものもあると言われています。2010年頃から、部屋食の廃止、アルコール飲み放題の有料化、飲食設備の縮小など、サービス面での合理化が進められました。

料金体系と客室

基本的には統一料金ですが、一部施設では露天風呂付きの部屋やオーシャンビューの部屋など、特別な部屋には追加料金が設定されています。これらの特別な客室は予約サイトに掲載されていない場合や選択できない場合もあります。また、複数の施設を一括買収し、連絡通路で繋いで一つの施設として運営する例も見られます。

伊東園リゾート

2017年4月には、熱海地区の4館を「伊東園リゾート」として位置づけ、シーズン料金の導入、バイキングのグレードアップ、客室の改築などが行われました。これにより、熱海エリアでは4館すべての温泉を無料で利用できるようになりました。

キャッチフレーズとCM展開

「人生は旅。」というキャッチフレーズに加え、2019年頃からは「いい湯かげん 旅かげん。」というフレーズを使い、「7,800円(税別)からの通える温泉宿」というコンセプトでCMを展開しました。2024年からは「巡りたくなる温泉宿」という新たなコンセプトを打ち出し、全国各地のホテルをアピールしています。

傘下施設一覧と往復バス

伊東園ホテルズは、伊豆半島を中心に、北海道から長野県まで50館のホテルを展開しています。年末年始、GW、夏休み以外には、主要駅からホテルを結ぶ有料の往復バスが運行されています。2020年から運休していましたが、2023年5月から一部区間で再開されました。バスは宿泊2日前までに電話予約が必要で、公式サイトでも予約できるプランが一部あります。

系列運営会社（吸収合併前）

株式会社伊東園
株式会社アタミ・イン
株式会社新風月
株式会社ロイヤル
株式会社黄金の湯
株式会社湯元
株式会社大野屋本店
株式会社土肥伊東園
株式会社水明館
株式会社油屋
株式会社西伊豆クリスタルビュー
株式会社碧山亭

閉館・営業譲渡したホテル

過去には、十和田湖グランドホテル、谷地温泉、鬼怒川グリーンパレス、前橋マーキュリーホテル、彦根ビューホテルなどを閉館・譲渡しています。

テレビ番組・提供番組

過去にテレビ東京の「ガイアの夜明け」で特集された他、現在も複数の番組に提供しています。

その他の情報

伊東園ホテルズは、かつて湯快リゾートと協調関係にありましたが、同じファンドに株式が売却されたことで、関係性が変化しました。大江戸温泉物語とは競合する関係にあります。

伊東園ホテルズは、今後もリーズナブルな価格で温泉を楽しめるホテルチェーンとして、顧客に愛され続けるでしょう。

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