佐久市立天来記念館

佐久市立天来記念館：書道の歴史と未来を繋ぐ空間

長野県佐久市に位置する佐久市立天来記念館は、書道芸術に特化した美術館です。1968年、書家・比田井天来の生家跡に「比田井天来生誕の地」の碑が建立されたことがきっかけとなり、地域住民や天来を慕う人々の熱意によって、1975年に開館しました。書道専門美術館としては日本で初めて登録博物館の認可を受け、その歴史と意義は深く、日本の書道文化の発展に貢献しています。

比田井天来とその周辺

記念館の核となるのは、比田井天来とその家族、そして門人たちの作品群です。天来とその妻である比田井小琴の作品は「天来・小琴常設展示室」に常設展示されており、書作品だけでなく、筆や硯、落款といった書道具、そして天来の個展を臨書した学書筌蹄（がくしょせんてい）など、書道家としての天来の生涯と作品制作への情熱を深く知ることができる貴重な資料が展示されています。

これらに加え、屏風や条幅、扁額といった様々な書作品を通して、天来の独特な書風と、その技法である俯仰法（ふぎょうほう）を体感できます。天来の書は力強く、繊細で、見る者の心を深く揺さぶる魅力に満ちています。

天来流と現代書道の巨匠たち

常設展示室に加え、企画展示室では天来流書道の系譜と、現代書道の発展に貢献した巨匠たちの作品を展示しています。上田桑鳩、金子鷗亭、手島右卿、桑原翠邦、比田井南谷など、各会派を代表する書家たちの作品を通して、天来流書道の影響と現代書道の多様な表現様式を学ぶことができます。これらの作品は、書道の歴史と進化を理解する上で、欠かせない重要な資料です。

美術館の情報とアクセス

開館時間は午前9時～午後5時です。休館日は毎週月曜日と火曜日（祝日の場合は翌日）、祝日の翌日（土曜、日曜、祝日に当たる場合は開館）、年末年始（12月29日～1月3日）です。

アクセスは、上信越自動車道佐久ICまたは東部湯の丸ICから約30分です。公共交通機関でのアクセスも可能です。

参考文献

『長野県の博物館』 長野県教育委員会 1989年
『信州美術館と作家たち』 美術年鑑社 1998年
* 『長野県ミュージアムガイド』 長野県博物館協議会 2017年

佐久市立天来記念館は、書道愛好家のみならず、広く一般の人々にとって、日本の書道文化に触れることができる貴重な場所です。静謐な空間の中で、書作品と向き合い、日本の伝統文化の深遠さを体感してみてはいかがでしょうか。

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