佐久駅

佐久駅：歴史と地域に根付く宗谷本線の一駅

1922年、天塩線（後の宗谷本線）の開通とともに開業した佐久駅は、北海道中川郡中川町に位置する、JR北海道が運営する駅です。長い歴史の中で、線路名称の変更や国鉄分割民営化などを経て現在に至ります。かつては貨物や荷物の取扱いも行われていましたが、1982年と1984年にはそれぞれ廃止され、1986年には完全無人化となりました。

2000年には、急行「宗谷」の停車が終了し、普通列車のみの停車駅となりました。近年は利用者数の減少が深刻化し、2019年にはJR北海道から沿線自治体に対し、1日平均乗降人員3名以下の駅の維持管理もしくは費用負担に関する提案がなされました。これを受け、中川町は当駅と歌内駅の維持管理を当面の間町が負担することで合意し、2021年4月からは町による維持管理に移行しました。町は駅舎やホームの巡回、清掃、除雪などを担当していますが、毎年の費用負担は町の財政にとって大きな課題となっています。

駅舎は1990年に改築され、「佐久ふるさと伝承館」として、地域の資料や展示物などを収蔵し、地域住民の交流拠点にもなっています。旧駅舎の絵画や古道具、農機具、アンモナイトの化石などが展示されており、歴史と文化を感じることができる空間となっています。2階には研修室も併設されているなど、多目的に活用されています。

駅名の由来は、駅付近の地名「サッコタン」に遡ります。これはアイヌ語の「sak-kotan-nay」（夏・村・川）に由来し、かつては夏の間だけ川岸で漁業を行っていた集落があったことにちなみます。当初は、対岸の安平志内の地名を採用する案もあったと伝えられています。

駅構造は単式ホーム1面1線で、かつては相対式ホーム2面2線の交換駅でしたが、2024年9月24日、運行管理システムの更新に伴い2番線の使用を停止しました。構内には踏切があり、かつては貨物用の側線なども存在していました。現在では無人駅となっており、静かな佇まいを見せています。

佐久駅の周辺には国道40号や複数の道道が通っており、アクセスは良好です。名寄警察署佐久駐在所や佐久郵便局などの公共施設、天塩川も近くにあります。隣の駅は筬島駅と天塩中川駅です。佐久駅は、地域の生活を支える重要な拠点として、これからもその役割を担っていくことが期待されます。しかし、持続可能な運営のためには、利用促進策や費用負担問題に対する継続的な取り組みが不可欠と言えるでしょう。今後の状況推移を見守る必要があります。

もう一度検索