侍魂

侍魂とは

「侍魂」は、2001年 1月18日に開設された個人運営のテキストサイトです。管理人は健氏（本名非公開）。文字の色や大きさを変えることで、面白さやインパクトを出す視覚効果を特徴とし、特に中国の人型ロボット先行者を扱ったお笑いテキストで絶大な人気を博しました。

テキストサイトブームの火付け役

侍魂のヒットは、文字情報を主体とするテキストサイトというジャンルに大きな注目を集めるきっかけとなりました。また、侍魂で用いられた文字演出の手法は、テキストサイトを中心に広く普及し、2000年代初頭のテキストサイトブームに大きな影響を与えました。

沿革

開設と初期

大学生だった健氏が、人気テキストサイト「"FUNNY" GAMER'S HEAVEN」に触発され、2001年 1月18日に侍魂を開設。フォント装飾は「A_prompt」というサイトが発祥で、「FUNNY GAMER'S HEAVEN」が進化させたものを参考にしました。

「ヒットマン事件簿」と「最先端ロボット技術」

2001年2月、元彼女の現在の彼氏にストーカーと勘違いされ殺害予告を受けた顛末を綴った「ヒットマン事件簿」が話題を呼び、人気サイトとなります。同年3月3日には、「最先端ロボット技術」と題して中国製ロボット「先行者」をギャグを交えて紹介した記事がネット上で爆発的に拡散。1日20万アクセスという驚異的な数字を記録しました。

広告収入とテキストサイトへの影響

サイトにバナー広告を掲載したところ、最初の1週間で60万円、1～2ヶ月で100万円以上の収入がありましたが、クリック数の多さからすぐに打ち切られました。その後、新しいバナーを設置したものの、クリック率は低下し、月収は4万円程度に落ち着きました。

侍魂の成功は、テキストサイトというジャンル全体への注目度を高めました。テキストサイトのポータルサイト「ReadMe!」では、ランキング上位サイトのアクセス数が10倍以上に増加。また、HTMLを駆使し「黒い背景＋文章センタリング＋強調部はフォントの拡大と色分け」という侍魂と共通するスタイルを採用した「フォントいじり系」と呼ばれるサイトが多数登場しました。

メディアへの露出とイベント出演

健氏は、雑誌、新聞、ラジオなどのマスメディアから取材を受け、インタビューや番組出演をこなしました。また、パソコンソフト「INTERNET サムライ」のパッケージや、ナムコのPlayStation 2用ソフト「鉄拳4」のテレビCMにも起用されました。特に「鉄拳4」は、健氏が元々鉄拳のファンであったこと、鉄拳の開発者も侍魂を見ていたことから実現。作品中には、先行者を模した戦闘ロボット（コンボット）が登場しました。

イベントにも数多く出演し、テキストサイト関連のトークイベントから、書店でのサイン会、自治体主催の講演会など、様々な場でファンと交流しました。中でも、京都で開催された声優・日高のり子氏とのトークイベントは、定員600人に対して10倍以上の応募があり、追っかけが出るほどの人気でした。

その後

2003年からは、Ezweb有料公式携帯サイト「学校へGO!」にて、健氏による悩み相談コーナーが設けられ、書籍化もされました。このようなタレント活動は2001年から2004年頃まで続きました。

2004年11月には、雑誌ネットランナーの創刊5周年記念オリジナルアニメ『ねとらん者 THE MOVIE』に、「侍魂健」がネットキャラクターとして登場しました。（声：大塚芳忠）

更新停止と近況

侍魂自体の更新は、2002年頃から健氏の就職に伴い低下し、2006年以降は更新されていません。健氏は家業を継ぎ、地方の中小企業の社長を務めています。プライベートでは、2008年に結婚し、子供もいます。

再び脚光を浴びる

2016年、テキストサイト関係者の誘いにより、オモコロの座談会企画に参加。2019年には、NHKEテレの特番「平成ネット史（仮）」で、日本のインターネット史に残るウェブサイトとして「侍魂」が取り上げられ、健氏がインタビューに答えました。同年1月13日には、渋谷ヒカリエで開催された番組主催のイベントに他のテキストサイト管理人たちと共に出演し、近況を語りました。この中で、テキストサイトでの体験を「もう一つの青春時代」と語り、執筆意欲はあるものの、多忙のため再開は難しいこと、子供にはサイトの存在を知られたくないなどの心情を明かしました。

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