偏差

偏差とは

偏差（へんさ、英: deviation）は、統計学においてデータの特定の値と基準値（平均値や中央値など）との乖離を示す指標です。この数値は、各データに対して算出され、それによってデータの分布やばらつきを理解するための重要な要素となります。

偏差値について

偏差値は、特定のデータが母集団の中で平均からどれだけ離れているかを示すための指標で、計算は以下の式で行われます。

• - 偏差値 = (平均からの偏差 ÷ 標準偏差) × 10 + 50

この式では、平均からの偏差は単純な引き算で求めますが、母集団の大小によって結果が影響されるため、均等に比較できるように標準偏差を用いることで偏差値を導き出しています。これにより、データ間の相対的な位置づけが見やすくなります。

絶対偏差

絶対偏差（英: absolute deviation）は、各データの偏差の絶対値であり、基準値との差を示します。これは、基準値そのものに対する「どのくらいずれているか」を表すため、数値にエラーを含まずに扱える特徴があります。

平均偏差と平均絶対偏差

平均偏差（英: mean deviation）および平均絶対偏差（英: mean absolute deviation）は、絶対偏差の算術平均です。具体的には、基準値と測定値の差の絶対値を平均化したものであり、基準値としては通常算術平均が採用されます。この指標により、全体的なばらつき具合を知ることができます。

標準偏差

標準偏差は、データの散らばり具合を数値で表現するための指標であり、次のように求められます。データの偏差を二乗し、平均を取った後、その平方根を計算します。これにより標準偏差は一部の偏差を反映しているとはいえませんが、データ点の散らばりを明示的に示すことができます。特に、データが全て有理数であった場合でも、標準偏差はしばしば無理数になります。また、標準偏差は常に平均偏差よりも大きくなるという特性があります。

無線工学における偏差

無線工学の分野でも偏差が活用され、具体的には無線局によって割り当てられた送信周波数と実際に空中線から放射される周波数とのズレを指します。電波法では、使用周波数帯において許容される偏差の範囲が定められています。

参考文献

• - 西岡康夫『数学チュートリアル やさしく語る 確率統計』オーム社、2013年。
• - 日本数学会『数学辞典』岩波書店、2007年。
• - JIS Z 8101-1:1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語, 日本規格協会.
• - 伏見康治『確率論及統計論』河出書房、1942年。

関連項目

• - 統計学
• - 標準偏差
• - 相関係数

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