光明寺残篇

光明寺残篇について

光明寺残篇（こうみょうじざんぺん）は、三重県伊勢市に位置する光明寺に伝わる古文書をまとめたものであり、現在は国の重要文化財として指定されています。この古文書は、元弘の乱に関する貴重な記録が含まれており、歴史的な価値を持つ資料として注目されています。

歴史的背景

光明寺残篇の起源は、天和2年（1682年）に遡ります。この年、出口延経という人物が光明寺で元弘の乱に関する古文書を発見し、仮に写し取られました。その後、天保15年（1844年）には世古延世によって文書の年代順に整頓され、出版されることとなります。これにより、光明寺残篇は研究者や歴史愛好者にとってアクセス可能な資料となりました。

構成内容

光明寺残篇は日記と文書類から成り立っています。日記の部分では、元弘元年（1331年）8月から10月までの間に起こった出来事が詳細に記されています。この期間には、後醍醐天皇が京都から逃れた際の出来事や、赤坂城の攻防戦に関連する記録が含まれています。特に、元弘の乱の流れを理解する上で欠かせない貴重な情報源です。

寺伝によれば、この日記の著者は南朝方の武将、結城宗広であるとされていますが、実際には鎌倉幕府に仕えていた別の人物が原著者であると考えられています。これは、日記の内容が幕府寄りの視点を持っているためです。

一方、文書の部分は元弘元年と3年（1333年）に書かれたものであり、こちらも重要な歴史的資料です。これには、後醍醐天皇の京都脱出を受けて鎌倉幕府が軍を動かしたことや、足利高氏（後の尊氏）が幕府を離反し、天皇方に加わった経緯が綴られています。また、乱が終結した後の高氏による幕府側残党の追討命令に関する文書などが収められています。

光明寺の歴史と文書

光明寺は鎌倉時代に度会広光によって創建され、多くの古文書が保存されてきました。光明寺文書として知られるこれらの資料でも、平安時代末期からの文書が多数残されており、部分的には寛文10年（1670年）の火災によって失われましたが、重要な文書群は今に伝わっています。残された文書は、出口延経やその父の出口延佳によって写され、『光明寺旧記』としてまとめられました。

さらに、天保年間には足代弘訓によって700通の原本や写本からなる資料が製本され、『光明寺古文書』として30巻にわたっています。現在、この光明寺古文書は国立公文書館内閣文庫で所蔵されており、光明寺残篇と共に貴重な文化財とされています。

まとめ

光明寺残篇は、元弘の乱に関する貴重な史料を含む文書であり、歴史研究においても重要な役割を果たしています。光明寺に残された多くの古文書が、後世の人々にその歴史的意義を伝え続けることでしょう。日本の歴史を知るための貴重な情報源として、光明寺残篇はますます注目されることでしょう。

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