八代海

八代海（やつしろかい）

概要

八代海は、九州の西部に位置し、熊本県と鹿児島県にまたがる内海です。北は有明海、南は東シナ海へと繋がっており、複雑な海岸線と島々が織りなす独特の景観を持っています。別名「不知火海（しらぬいかい）」とも呼ばれ、その神秘的な名前は、古くからこの海域が信仰の対象であったことを物語っています。2002年には、有明海と一体の海域として捉えられ、環境再生のための特別措置法が施行されるなど、その重要性が認識されています。

地理

総面積は約1,200平方キロメートルで、熊本県と鹿児島県に囲まれています。閉鎖度指数は32.5と高く、同規模の内湾と比較しても閉鎖性が高いことが特徴です。これにより、独特の生態系が形成されています。

潮汐

大潮時の潮位差は、湾奥の八代港で約4メートルに達するなど、潮の満ち引きが激しいことが特徴です。これにより、干潟が広範囲に形成され、ムツゴロウやアゲマキなどの多様な生物が生息しています。特に球磨川河口部から湾奥部にかけての東岸には広大な干潟が広がっています。

流入河川

主な流入河川として、球磨川が挙げられます。この川は、八代海の生態系に大きな影響を与えています。

沿岸の自治体

八代海沿岸には、以下の自治体があります。

熊本県：宇城市、氷川町、八代市、芦北町、津奈木町、水俣市、上[[天草市]]、天草市
鹿児島県：出水市、阿久根市、長島町

歴史

不知火信仰

古くは「不知火海」とも呼ばれており、火の国（肥後国・肥前国）では不知火に対する信仰がありました。『日本書紀』には、景行天皇が熊襲征伐の際に、海上に光が見えたため、その方向に船を進めると火の国八代郡火邑に到着したという記述があります。この逸話は、八代海が古くから人々の生活と文化に深く関わっていたことを示しています。

水俣病

20世紀には、水俣湾において、日本窒素肥料（後のチッソ）が水銀を触媒とするアセトアルデヒド工場を稼働させた結果、工場からの排水に含まれるメチル[[水銀]]により、深刻な水俣病が発生しました。この公害問題は、八代海の歴史の中で大きな影を落としました。1968年にメチル[[水銀]]が原因と公式に認定され、工場の稼働が停止されるまで、多くの人々が苦しみました。この事件は、環境問題の教訓として、今もなお語り継がれています。

干拓遺跡

2022年3月15日には、八代海の干拓遺跡が国の史跡に指定され、その歴史的価値が改めて評価されました。

交通

沿岸の港湾

八代海沿岸には、以下の港湾があります。

三角港（東港）
八代港
佐敷港
水俣港
棚底港
本渡港

これらの港は、地域間の人や物の交流を支える重要な拠点となっています。

主な航路

八代海を航行する主な航路は以下の通りです。

三角港-棚底港（山畑運輸）
八代港-松島港（松島フェリー、天草フェリーライン）
八代港-本渡港（天草観光汽船）

これらの航路は、島々へのアクセスを容易にし、観光や地域住民の生活を支えています。

沿岸の鉄道

八代海沿岸を走る主な鉄道は以下の通りです。

鹿児島本線
三角線
肥薩おれんじ鉄道

これらの鉄道は、沿岸地域の交通を支え、人々の生活と経済活動を支えています。

関連項目

水俣病
不知火（蜃気楼）

八代海は、美しい自然と豊かな生態系を持つ一方で、公害問題や歴史的な出来事を経験してきました。その多様な側面は、私たちに多くの教訓を与えてくれます。

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