六孫王神社

六孫王神社：清和源氏の歴史と美しい景観が息づく神社

京都市南区に鎮座する六孫王神社は、平安時代に創建された由緒ある神社です。旧社格は郷社で、清和源氏初代の源経基（六孫王）を主祭神として祀っていることから、兵庫県の多田神社、大阪府の壺井八幡宮とともに『源氏三神社』の一つに数えられています。

源経基と六孫王神社の創建

社伝によれば、神社の境内は源経基の邸宅跡と伝えられています。経基は清和天皇の孫にあたることから『六孫王』と呼ばれ、その邸宅『八条亭』は、現在の境内地にあったとされています。応和元年（961年）、経基が臨終の際に遺言として「死後は龍神となって邸内の池に住み、子孫の繁栄を祈る」と述べ、この地に葬られることを望んだとされています。

応和3年（963年）、経基の嫡子である源満仲が、父経基の墓所を建立し、その前に社殿を造営したことが、六孫王神社の創建とされています。現在も本殿後方には、経基の廟と伝わる石の基壇が残されています。

その後、この地は清和源氏の発祥の地として、摂津源氏、多田源氏によって継承されてきました。源頼政の時代には平清盛に譲られ、西八条第の一部となりましたが、経基の墓と神祠は残されました。平家の滅亡後、この地は源頼朝に与えられ、鎌倉時代には、暗殺された源実朝の菩提を弔うために、実朝の妻・本覚尼が遍照心院（大通寺、通称：尼寺）を建立し、六孫王神社はその鎮守社となりました。

戦乱などにより社殿は失われましたが、経基の墓所は残されたと伝えられています。元禄13年（1700年）から、江戸幕府によって社殿の再興が進められ、宝永4年（1707年）に完成した社殿は、現在も残されています。元禄14年（1701年）には、正一位の神階と権現号が授けられ、『六ノ宮権現』とも呼ばれました。

江戸幕府の滅亡や神仏分離令により、六孫王神社は衰微し、大通寺とも分離しました。大通寺は、1911年（明治44年）に国鉄東海道本線の用地となったため境内地を売却して移転を余儀なくされました。さらに、1964年（昭和39年）には、六孫王神社の境内地が東海道新幹線の用地となり、再び狭くなってしまいました。

近代社格制度では、1873年（明治6年）に村社に列し、1881年（明治14年）には郷社に昇格しました。

見どころ

六孫王神社は、歴史的な社殿だけでなく、美しい自然も魅力です。境内には、神龍池があり、満仲誕生水（現在は2代目）も存在します。また、境内には桜が美しく咲き誇り、春の季節には多くの参拝客が訪れます。

社殿は本殿、拝殿、廻廊、唐門などからなり、いずれも元禄14年（1701年）再建のもので、京都市指定有形文化財に指定されています。

境内には、五座神社、多田神社、貞純神社、竹生島神社、誕生水弁財天社、睦称稲荷神社など摂末社もあります。

アクセス

六孫王神社は、JR京都駅、近鉄京都駅から徒歩圏内に位置しています。京都駅八条口からは西へ徒歩約15分、梅小路公園や東寺の近くにあります。

まとめ

六孫王神社は、歴史と自然が融合した、魅力あふれる神社です。清和源氏の歴史に触れ、美しい景観を堪能したい方は、ぜひ訪れてみてください。

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