六波羅蜜寺

六波羅蜜寺について

六波羅蜜寺（ろくはらみつじ）は、京都市東山区轆轤町に位置する真言宗智山派の寺院であり、その山号は補陀洛山です。この寺院は空也上人によって創建され、本尊として十一面観音を奉じています。六波羅蜜寺は、西国三十三所の第17番札所及び洛陽三十三所観音霊場の第15番札所としても知られています。寺では「おん ろけいじんばら きりく そわか」という真言が唱えられ、詠歌には「重くとも五つの罪はよもあらじ　六波羅堂へ参る身なれば」という言葉があります。

歴史の歩み

六波羅蜜寺の創建年ははっきりしませんが、『扶桑略記』によれば、平安時代中期の天暦5年（951年）、空也上人により観音像が造立され、その道場が始まりとされています。当初は西光寺の名で知られていました。空也は、疫病が広がる時代に観音像を運びながら念仏を唱え、病に苦しむ人々を助けたと言われています。空也の死後、977年に比叡山の僧・中信により中興され、六波羅蜜寺と改名され、天台宗に属するようになりました。寺名は仏教の教え「六波羅蜜」に由来している一方、この地が古代から「六原」と呼ばれていたことにも関連があると言われています。

平安時代末期には、平家との深い関わりが生まれ、特に平清盛によって当寺が平家の屋敷群に組み込まれました。しかし、寿永2年（1183年）の都落ちの際に、寺の多くの建物が火災によって失われました。以降、源頼朝や足利義詮によって修復が行われ、本堂は南北朝時代の貞治2年（1363年）に再建されましたが、何度も火災の被害に遭っています。

文禄年間（1593年 - 1596年）には、豊臣秀吉の方広寺大仏建立に伴い本堂が修理され、向拝が設けられました。江戸時代には大きな伽藍がありましたが、明治維新の際に多くが縮小されました。1969年には、本堂の解体修理時に約8,000基の泥塔が発見されています。

境内と文化財

境内には重要文化財としての本堂が位置しており、1363年に再建されたこの建物は、天台式建築の特徴を持っています。また、宝物館には空也上人像や地蔵菩薩坐像など、歴史的に重要な仏像の数々が収蔵されています。

六波羅蜜寺の本尊である木造十一面観音立像は、平安時代10世紀頃に制作されたもので、国宝として認定されています。毎12年に一度、辰年には秘仏として開帳されるこの像は、258cmの高さを持ち、優雅な表情をから平安期の特徴が見て取れます。

他にも、空也上人の姿を描いた木造の像や、平清盛を模した僧形像、運慶作とされる地蔵菩薩坐像など、数多くの重要な文化財が存在します。

特別行事と文化財損傷の問題

毎年12月には、重要無形文化財として指定されている「空也踊躍念仏」が行われ、これにより訪れる人々に日本の伝統文化の一端を感じてもらえます。最近では、隣接する小中学校の建設工事に関連して寺の文化財が影響を受けているとの報告があります。このようなことを受け、寺は京都市に対して文化財保護の観点から整備計画の見直しを求めています。

交通アクセス

六波羅蜜寺へのアクセスは、清水五条駅から徒歩約10分、または「清水道」バス停から徒歩7分で到着します。周囲には西福寺や清水寺といった他の名所もあり、訪れる際にはぜひ周辺散策も楽しんでいただきたい場所です。

もう一度検索