兵糧

兵糧とは

兵糧（ひょうろう、兵粮、軍糧とも）とは、戦争時における軍隊の食糧を指します。特に日本では米が主食とされ、その重要性が強調されています。兵糧米（ひょうろうまい）という言葉も使われ、米のほかにも塩や大豆が含まれ、特に馬の食糧としても重要視されます。

兵糧の重要性

古代から戦場における食料の役割は非常に重要とされてきました。紀元前の兵法書『孫子』の中には、自軍で食料を輸送するコストが高いため、敵から食料を奪うべしと説いています。このように、軍が現地の住民から強制的に資源を徴発したり、略奪を行うことは、現地住民の反感を買いやすい側面があります。そのため、長期的な戦争においては現地住民の協力が必要になることもあります。

また、高値での物資取引が軍の負担をもたらすことが夏られ、現地の住民に対する支払いを軍用手票という臨時通貨で行うことがありました。この方法により勝利すれば現地の物資が調達でき、住民からの支持も得られるという利点がありましたが、敗北すればその手形は無価値となり、国際問題に発展することもありました。

焦土作戦や塩土化と呼ばれる作戦もあり、敵対民族に対する儀式として行われたものであり、それによって食料の供給を阻む戦術が展開されました。

日本における兵糧の歴史

律令時代（古代）

古代日本においては、兵士は自らの兵糧を携帯する義務があり、律令法では6斗の米と2升の塩が必要と定められていました。しかし、これは実際には兵士にとって60日分に過ぎず、行軍をする上での負担となることがありました。そこで、蝦夷討伐時には東国からの兵糧調達が許可されるなど、その時々の状況に応じた運営が行われました。

平安末期から鎌倉時代（中世）

この時代には、源平合戦に見られるように、平家と源氏がそれぞれ兵粮米の賦課を行っていました。当時、兵粮の徴発は現地の有力者からの献納を依存することが多く、結果的には兵士の濫妨を招くことがありました。

南北朝から戦国時代（中世）

この時期には、北朝と南朝がそれぞれの方式で兵粮の確保に努め、守護大名が兵糧の保持に責任を負う体制となりました。特に兵糧攻めの戦術が用いられ、敵方の食料を断つための戦略が展開されました。

近世

豊臣政権の時代には兵農分離が進められ、武士が兵士としての役割を担い、兵糧携帯の義務がなくなりました。大名は戦時に向けて米や調味料などの食材調達を計画に基づいて行い、流通させるため、現地における兵糧調達は制限されることになりました。

大日本帝国の陸軍給与令

近代においては、陸軍の兵士に対して提供される食事が厳密に定められました。兵食の基準量が設定され、平時と戦時で異なる内容や数量が規定されることになりました。また、馬糧においても、常に考慮されていました。兵士は食事の質とカロリーを通じて、戦闘に耐える力を保つことが期待されました。

世界の兵糧

他国の兵糧事情も興味深いです。古代ローマやスパルタでは、当時の食事がどのように作られていたのかが記録に残されています。特に、十字軍の時代には特別な食品が印象的で、乾パンや塩漬けされた食材が主流でした。日本でも、歴史的な背景と文化により、各時代ごとの供給体制が形成されていったことがわかります。

結論

兵糧は軍事行動の鍵となる要素であり、戦略や文化、社会的背景に深く関わっています。その歴史をたどることで、戦争における食糧の重要性と、国家戦略の一端を理解することができるのです。

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