升

升（しょう）について

升（しょう）とは、主に日本や中国で用いられる体積の単位であり、特に農業や食品の取引において重要な役割を果たしてきました。升は、10合（ごう）で1升、10升で1斗（と）という体系になっており、その基準や内容は国や地域、さらには時代によって変わることがあります。

日本における升の定義

日本では、1881年（明治24年）に新京枡という体積基準が採用され、1升はおおよそ2401/1331000立方メートルと定められました。これは約1.803リットルに相当し、多くの酒や米の取引において使われてきた単位です。一方、中国では1升は正確に1リットルと定義されており、使用される文脈に応じて「市升」と「公升」と区別されていますが、実際の体積は同じです。

升の起源は古く、その語源は両手で掬える量に由来し、当初は200ミリリットルほどの体積であったと言われています。しかし、時代と共にこの体積は拡大し、現代の升の基準となりました。「升」という字は、物を入れる容器の形に象った象形文字から来ており、しばしば文字通りの意味合いとともに、量を表す単位として定着しています。

歴史的な変遷

中国の升の歴史

中国では、随唐時代に1升は約200cm³とされていました。その後の明清時代を経て、1929年には現在の定義と同じく1升＝1リットルとされました。このように中国においても升は時代の経過と共に形を変えつつありました。

日本の升の歴史

日本では大宝律令に記された「升」が最初に文献に登場し、これがきっかけで中国の升を取り入れたと言われています。古代から中世にかけて、さまざまな地域で異なる升の使用が見られましたが、後三条天皇の定めた公定の升が導入されるまでには、多くの混乱がありました。

1161年に信長が新たな枡を正式に定め、さらに豊臣秀吉によって、その後の全国共通の新京枡が組織されました。江戸幕府は1669年に新京升を採用し、これが現代の升の基準となりました。新京升は、具体的には縦49分、横49分、深さ27分の容積を持ち、64827立方分として記憶されています。

現代と升

近年では、升は日本での法規制により、取引や証明には使用できなくなりましたが、日本酒などは1.8リットルの容器で流通しています。米の取引においても、キログラムに換算されているものの、升は依然として文化的・歴史的な価値を持っています。

升と文化

升は「益々繁盛（ますますはんじょう）」という意味合いを象徴する縁起物としても利用されています。また、升には特定の数の米粒（64827粒）が入るという伝統的な数え方も存在し、これは升の文化的重要性を示しています。

升はただの体積単位としてのみならず、長い歴史や文化に支えられた貴重な財産でもあります。その意味や使い方を理解することで、より深い日本文化の一端に触れることができるでしょう。

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