兵部

兵部（へいぶ）は、中国において中世から近世にかけて存在した役所であり、六部の一つとして国防を担っていました。満洲語では「coohai jurgan」と表記されます。

組織と役割

兵部の長官は尚書（へいぶしょうしょ）、次官は侍郎（へいぶじろう）と呼ばれ、それぞれ正三品、二名という官位と定員が定められていました。兵部は、主に武官の人事、兵器の管理、軍政などを担当しました。ただし、時代や王朝によってその権限には差異がありました。

中国における変遷

兵部は、隋の時代に設置され、唐の時代に引き継がれました。唐代の兵部は、兵部、職方、駕部、庫部の4つの司を管轄し、それぞれに郎中と員外郎という判官が置かれました。これらの官僚が、武官の人事、兵器の管理、軍政などを担当しました。

その後も、歴代王朝は兵部の制度を踏襲しましたが、その権限は王朝によって異なっていました。例えば、宋、遼、金、元においては、兵部は軍政そのものを担当しませんでした。明代においては、兵部の権限は非常に重く、軍事において重要な役割を果たしていました。一方、清代では、兵部は武官の選抜と処分、兵器、兵站を担当するのみで、軍の指揮権に直接干渉することはできませんでした。

清の光緒32年（1906年）、光緒新政の一環として、兵部は陸軍部（olhon jugūn i coohai jurgan）と改称され、後に海軍部も設置されたことで、兵部という名称は廃止されました。

中国以外の兵部

中国の制度に影響を受け、朝鮮やベトナムにも同名の官庁が存在しました。また、日本においては、律令制の下で兵部省が設置され、同様に国防を担いました。

このように、兵部は東アジアにおいて重要な役割を果たした官庁であり、その制度は各国の政治や軍事に大きな影響を与えました。

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