円満院

円満院の紹介

円満院（えんまんいん）は、滋賀県大津市の園城寺町に位置する天台宗系の寺院です。山号は長等山であり、本尊は不動明王となっています。また、近畿三十六不動尊の第25番札所としても名を馳せ、過去には天台宗寺門派の三門跡寺院の一つでした。境内は本堂や宸殿を含むさまざまな堂宇に加え、宿坊や三密殿、大津絵美術館が併設されており、多くの観光客に親しまれています。

歴史

円満院の歴史は寛和3年（987年）に村上天皇の皇子である悟円法親王によって創建されたのが始まりと言われていますが、平安時代中期の藤原資房の日記には、園城寺の明尊大僧正が1040年に新たに寺院を設立し「圓滿院」と名付けたと記載されています。悟円の子である永円が初代の院主に就任し、円満院は徐々にその名声を高めていきました。

1052年には、関白藤原頼通が宇治殿を寺院に改裝し、明尊大僧正を開山として、新たに「平等院」の名を与えました。この結果、円満院も新たに改名され、引き続き皇族の入室が行われる寺院としての地位を確立しました。室町時代の後期まで、円満院は「三井平等院」や「桜井の宮」とも呼ばれ、多くの信仰を集めました。

江戸時代初期には現在の地に移され、正保4年（1647年）には明正天皇による寝殿の下賜も受けています。その後、時は流れ、1869年には大津県庁が宸殿に移転し、1888年には新たな県庁舎が完成し、移転が行われました。1947年には天台寺門宗から独立し、現在に至ります。

競売問題

2009年には、重要文化財の宸殿を含む9棟の建物と約1万4000平方メートルの土地が、裁判所により競売にかけられる一大事態が発生しました。最終的に滋賀県甲賀市の宗教法人大岡寺に約10億6700万円で落札され、同年8月には所有権の移転手続きが完了しました。この事件は文化庁によって「異例の事態」として注目されました。

境内の概要

円満院の境内には様々な建築が点在しています。重要文化財に指定されている宸殿は、入母屋造りで杮葺の屋根を持ち、1619年に造営されたものが1647年に円満院に移築されました。この宸殿には、後水尾天皇の座った御座があり、内部の障壁画は狩野派によるもので、美術的価値も高いものとして評価されています。庭園「三井の名庭」は名勝及び史跡に指定されており、その造りは室町時代の造園家・相阿弥の作品だと伝えられています。

また、大津絵美術館では江戸時代の縁起物の絵画である大津絵が展示されており、訪れる人々に地域の文化を伝えています。その他にも、鐘楼や不動堂三心殿、勅使門などがあり、特に多様な文化財が集まる場所として多くの人が訪れます。

拝観情報

円満院は、訪れる際の拝観が可能で、毎月第2日曜日と28日には護摩法要が行われます。不動明王に祈りを捧げるこのイベントには誰でも参加が可能です。拝観時間は午前9時から午後4時半までで、料金は大人500円、高校生300円、中学生以下は無料となっており、団体割引も提供されています。

円満院はただの宗教施設でなく、豊かな歴史と文化を体感できる特別な場所です。訪れる際はその歴史的背景や文化財についても理解を深めていただき、素晴らしい体験をしていただければと思います。

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