円谷一夫

円谷一夫：ウルトラマンを支えた情熱と軌跡

円谷一夫（つぶらや かずお）は、1961年1月18日、東京都に生まれました。彼は、特撮の神様と称される円谷英二を祖父に、円谷皐を父に持つ、まさに「ウルトラマン」の血を受け継ぐサラブレッドです。玉川大学文学部を卒業後、1983年に円谷プロダクション（以下、円谷プロ）に新卒として入社し、そのキャリアをスタートさせました。

円谷プロでの道のり

営業課長、営業部長を経て、1995年に父・円谷皐の急逝を受け、円谷プロの社長に就任。2003年には円谷昌弘に社長の座を譲り、自身は会長となりました。2007年には会長兼社長として八代康生を迎えましたが、2008年に解任され、名誉会長を経て、2009年に円谷プロを退任しました。その後、長らく公の場から姿を消していましたが、2021年に出版されたインタビュー本『ウルトラマンティガ 25年目の証言録』で久々にその姿を見せました。彼は、平成ウルトラシリーズ全般の監修を務め、作品の方向性を決定づける重要な役割を果たしました。

ウルトラマンへの愛情とエピソード

円谷一夫は、実相寺昭雄監督の熱心なファンであり、神戸市と自動車を愛する人物です。また、『ウルトラセブン』第43話「第四惑星の悪夢」に出演した女優・歌手の愛まち子とも親交があります。小学生時代には、『ウルトラセブン』に登場するウルトラホーク1号について作文を書き、世田谷区の作文コンクールで優勝したというエピソードも持っています。好きなウルトラ怪獣は、キングジョー、タッコング、ツインテールと、個性的な顔ぶれが並びます。

『有言実行三姉妹シュシュトリアン』のファンであった彼は、ウルトラマンが登場する第40話「ウルトラマンに逢いたい」に、円谷プロの「一夫さん」として友情出演を果たしました。また、円谷プロが経営危機に陥った際には、長年会長室で飼育していた淡水フグを手放すという、苦渋の決断を下したこともありました。

社員やスタッフの結婚式では、新郎に「ウルトラ愛の五つの誓い」を宣誓させるというユニークな習慣を持っていました。その内容は、「奥さんを大切にする」「休日は家庭サービスに努める」「一年に一回は家族旅行をする」「ウルトラマンファミリーのように明るい家庭を築く」「子どもができたらウルトラマン好きにする」というもので、彼のウルトラマンへの愛情と、家庭を大切にする想いが込められています。

『ウルトラマンティガ』と『ウルトラマンダイナ』では、4本のストーリー原案を担当しました。特に、『ティガ』第46話「いざ鎌倉！」は、彼が小学生時代に住んでいた鵠沼への想いから、江ノ電を登場させたいという願いを込めて制作されたエピソードです。

功績と批判

円谷プロ以外での仕事を経験せず、父・円谷皐から子飼いの役員を受け継いだ結果、ワンマン主義になったと、従弟の円谷英明から批判されたこともありました。しかし、彼のウルトラマンに対する情熱と、円谷プロを支えようとする強い意志は、多くの人々に感銘を与えました。

出演作品と参加作品

彼は、俳優として『有言実行三姉妹シュシュトリアン』や『ムーンスパイラル』に出演し、『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』にもカメオ出演しています。また、『ウルトラセブン』のDVD特典映像にも登場しました。

プロデューサー、製作総指揮、監修として、数多くのウルトラマンシリーズや関連作品に携わりました。『電光超人グリッドマン』や『ウルトラマンパワード』といった作品から、『ウルトラマンティガ』、『ウルトラマンダイナ』、『ウルトラマンガイア』といった平成ウルトラマンシリーズ、そして『ウルトラマンコスモス』、『ウルトラマンマックス』、『ウルトラマンメビウス』など、幅広い作品群を支えました。また、『ウルトラセブン』の30周年、35周年記念作品や、『ウルトラマンネオス』といった企画にも携わりました。

円谷一夫は、円谷プロの歴史において、重要な役割を果たした人物です。彼のウルトラマンに対する愛情と情熱は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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