冥加

冥加（みょうが）とは

冥加とは、江戸時代に山野河海などの利用や営業免許の代償として、幕府や藩に支払われた租税の一種です。金銭で支払われることが多く、冥加金・冥加永とも呼ばれました。

概要

元来、「冥加」は冥利と同義で、神仏からの加護を意味します。その祈願や謝礼として寺社に奉納された金銭や物資も「冥加」と呼ばれました。領主権力は、領民への庇護（国恩）を名目に、年貢を納めない商工業者に対し、年貢に相当する冥加を求めるようになりました。さらに、鉱山労働や鯨の捕獲など、領主が支配する山野河海から利益を得る者からも冥加を徴収しました。これは、農民が田畑を耕作する代償として領主から庇護を受ける関係を、他の領民にも拡大したものと言えます。

運上との違い

類似の租税に運上が存在します。運上も商工業者に課された税ですが、以下のような違いが指摘されてきました。

運上は当初から一定額が定められているが、冥加にはない
運上は領主が命じて納めさせるが、冥加は領主の恩恵に対する自主的な奉納の体裁をとる（ただし、自主的かどうかは別問題）
* 小物成・運上は幕藩制初期からの税で、冥加は株仲間結成など後世に新たに賦課されたもの

しかし実際には、冥加にも一定額が定められる場合があり、『地方凡例録』には「運上と云も冥加永というも同様たり、何れを唱へても苦しからず」という記述があります。つまり、運上と冥加は実質的に区別がつきにくいものだったと考えられます。

株仲間との関係

冥加の代表的なものとして、株仲間の結成時に領主から営業特権を得る代償として納めるものがあります。認可初年度には多額の冥加（初年金/初年銀）を納め、以降は少額の冥加（年々金/年々銀）を毎年納めるのが通例でした。納付方法は金貨・銀貨、または両者の混合で、構成員が共同で負担しました。天保の改革で株仲間が一時廃止された際には冥加も免除されましたが、株仲間再興後も冥加は賦課されませんでした。

その他の例

株仲間以外にも、市中の空地に家を建てたり、川岸を水揚げ場として占有したりする場合の地子として冥加が納められることもありました。

明治維新後

明治維新の際の「商法大意」に基づき冥加は廃止され、一部は運上として復活したり、近代的な営業税として賦課されたりしました。

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