前野曜子

前野曜子：情熱と波乱の生涯

前野曜子（まえの ようこ、1948年1月25日 - 1988年7月31日）は、その歌声で多くのファンを魅了した日本の歌手です。ペドロ&カプリシャスの初代ボーカルとして知られていますが、彼女のキャリアは宝塚歌劇団から始まり、その後、様々な音楽活動を経て、映画出演など多岐にわたりました。本記事では、彼女の波乱に満ちた生涯と音楽活動について詳しく解説します。

宝塚歌劇団から音楽の世界へ

1948年、東京都中央区銀座で生まれた前野曜子は、1963年に川村高等学校に進学しますが、1965年に中退し、宝塚音楽学校へ進みます。1967年には宝塚歌劇団に入団し、星組公演『世界はひとつ』で初舞台を踏みました。当時の芸名は弓千晶で、同期には室町あかねや小松美保がいました。1968年に宝塚歌劇団を退団後、彼女は音楽の世界へと足を踏み入れます。

ペドロ&カプリシャスでの大ブレイク

宝塚時代に知り合った亀渕友香との再会をきっかけに、リッキー&960ポンドに参加し、「ワッハッハ」がヒットを記録します。この時期には西丘有里という芸名を使用していました。1971年には、ペドロ&カプリシャスのボーカルとして参加し、「別れの朝」が大ヒット。この曲は、ウド・ユルゲンスの「夕映えのふたり」を原曲としており、彼女の歌唱力によって多くの人々に愛される楽曲となりました。しかし、1972年には体調不良のため活動を一時休止し、翌年にはグループを脱退します。

その後の音楽活動

ペドロ&カプリシャス脱退後、前野曜子はアメリカへ渡り、帰国後は本村俊雄率いるマスカレードで活動を再開します。1976年には古巣のリッキー&960ポンドに復帰し、アルバム『ABRAZAME』をリリース。「別れの朝」の別バージョンも収録されており、その出来栄えは高い評価を受けています。その後、再びグループを脱退し、1979年には映画『蘇える金狼』の主題歌を担当するなど、ソロ活動も積極的に行いました。1980年代初頭には、自身のバンドASANTE-SANAを結成し、リサイタルも開催しました。

映画出演とアニメ主題歌

音楽活動だけでなく、1980年には映画『野獣死すべし』に出演するなど、俳優としての活動も行いました。また、1982年からはテレビアニメ『スペースコブラ』の主題歌を担当し、その歌声は幅広い世代に知られることとなります。

晩年と突然の死

しかし、1980年代に入ると、前野曜子はアルコール依存症などに苦しみ、1988年7月31日に心不全のため40歳という若さでこの世を去りました。彼女の死は当時リアルタイムで報道されることはなく、3年後の1991年に『女性自身』で初めて報じられました。2015年には、ファンによる集いが初めて開催され、彼女の音楽は今もなお多くの人々に愛され続けています。

ディスコグラフィ

リッキー&960ポンド

シングル

『帰らないで／リップ・ステックのテーマ』（1976年）
『告白・アイ・ラブ・ユー／夢物語』（1977年）
『抱きしめて／バイ・バイ・シティ』（1977年）

アルバム

『ABRAZAME（抱きしめて）』（1977年）

ソロ

アルバム

『蘇える金狼・前野曜子』（1979年）
『HALF TIME』（1980年）
『一人で(アローン)』（1981年）
『TWILIGHT』（1982年）
『YOKO MAENO memorial collection “BEST”　-30th Anniversary-』（2018年）

フィルモグラフィ

『蘇える金狼』(1979年) - 主題歌
『探偵物語』第14話『復讐のメロディー』(1979年) - テレビ映画
『野獣死すべし』(1980年) - 出演
* 『スペースコブラ』(1982年-1983年) - 主題歌

前野曜子の音楽は、その情熱的な歌声と、彼女自身の人生の波乱が合わさって、多くの人々の心を捉えました。彼女の残した音楽は、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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