十三号型巡洋戦艦

十三号型巡洋戦艦

十三号型巡洋戦艦、または第八号型巡洋戦艦は、大日本帝国海軍が八八艦隊計画に基づいて設計した最後の艦型です。計画では第十三号艦から第十六号艦までの4隻の建造が想定されていましたが、ワシントン海軍軍縮条約によって、建造開始前に全艦の計画は中止されました。この艦型は、「超紀伊型戦艦」とも位置づけられており、主砲としては50口径46センチ砲の連装砲塔が四基搭載される予定でした。

計画背景と主砲の開発

日本海軍は第一次世界大戦の前、1914年に新型主力艦の開発に着手します。同年に、16インチ（40センチ砲）ならびに18インチ（46センチ砲）の試作が命じられ、特にユトランド沖海戦ではイギリスの巡洋戦艦の防御力が不足していることがわかりました。また、従来の戦艦が速度的に劣っていることから、新しいタイプの艦艇が求められるようになりました。この流れを受けて、従来の戦艦の優れた特性を持ちながらも巡洋艦の速力を兼ね備えた艦艇の必要性が視野に入ります。

イギリス海軍はこれを反映させ、新型のN3型戦艦およびG3型巡洋戦艦を設計し、アメリカ海軍も同様に新型艦を構想していました。日本海軍は、この国際的な潮流に遅れを取らぬよう、加賀型戦艦や天城型巡洋戦艦を建造しつつ、やがて紀伊型戦艦に至る計画を立てました。十三号型巡洋戦艦は、その一環として登場した艦型となります。

設計の詳細と議論

八八艦隊計画に基づいて、紀伊型戦艦には大きな兵装が期待されていましたが、最終的な設計は試行錯誤の過程にありました。十三号型は、紀伊型の流れを受けつつも、主により強力な主砲搭載や装甲強化が議論されました。具体的には、50口径41センチ三連装砲塔や46センチの連装砲塔を検討し、砲塔の装備に関しても様々な意見が交わされていました。建造予定の艦は、重量や排水量の制限から、30ノットの速力を目指して設計されました。

予算と計画の行方

大正9年（1920年）、第43回帝国議会で八八艦隊に関する予算が可決され、巡洋戦艦4隻の排水量は紀伊型と同じ41,000トンに設定されました。建造費用は一隻当たり37,424,800円とされ、新しい艦型の建設に期待が寄せられました。しかし、ワシントン軍縮条約の影響により、これらの艦艇の建造は実現せず、最終的に1923年に計画は取り消されました。

艦型の特徴

艦型については、平賀譲の資料から速やかに決定する必要性が訴えられていたことが示されています。艦型の基本は紀伊型と似通っており、主砲の搭載数や速力、装甲の強化が図られていましたが、結局は具体的な設計案は決められずに終わりました。想定されていた要目には、常備排水量が47000トン以上、速力は30ノットが目標とされ、強力な火力と防御力が施される予定でした。

登場作品と文化的影響

十三号型巡洋戦艦は、20世紀末の架空戦記においてしばしば取り上げられています。さまざまなフィクションでは、「八八艦隊」が実現していた場合をテーマにした作品が存在し、艦名や設定に工夫が加えられています。例えば、『八八艦隊物語』や『軍艦越後の生涯』といった作品には、十三号型の艦が様々に描写されており、作品毎に異なる艦名が与えられることがしばしばです。また、ゲームや雑誌などに登場することにより、日本海軍の歴史を現代においても興味深く伝える役割を果たしています。

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