千鳥型水雷艇

千鳥型水雷艇について

千鳥型水雷艇（ちどりかたすいらいてい）は、日本海軍において1931年から建造された水雷艇の一つで、特に堅固な武装を特徴としています。この艦型は、合計で4隻が建造されましたが、そのうちの3隻は太平洋戦争中に撃沈され、最後の1隻は戦後に解体されました。

建造の背景

水雷艇は、大型艦に対して水雷を使用し攻撃するための艦艇ですが、時代の進展とともに駆逐艦が登場したことで水雷艇は次第に廃れました。日本海軍では、日露戦争以降、水雷艇の建造が減少し、1924年にはその種類が艦艇類別標準から削除されました。しかし、1922年のワシントン海軍軍縮条約や1930年のロンドン軍縮条約を受け、各国は補助艦艇の建造を進めることになり、日本海軍もその流れに則って水雷艇の復活を計画しました。

具体的には、ロンドン軍縮条約によって駆逐艦の建造が制限される中、600トン以下の規模の艦艇は制限対象外となり、水雷艇が再び注目されました。これにより、千鳥型水雷艇の建造が進められ、合計4隻が完成しました。

千鳥型水雷艇の設計と構造

千鳥型は、小型に設計されつつも、駆逐艦に匹敵する重武装を有していました。基準排水量は約600トン、最大速力30ノットが求められ、艦船の構造は特に軽量化が計られました。これには、電気溶接の利用や軽合金の採用が含まれます。

艦の設計段階では、当初の計画に基づいて16隻の駆逐艦を建造する予定でしたが、実際には水雷艇の建造が進められました。千鳥型については特に兵装の搭載量が問題視されており、武装重量は当時の駆逐艦に比べて非常に大きく、結果的に艦の復原性に影響を及ぼすこととなりました。

友鶴事件とその後の影響

建造された千鳥型水雷艇の一隻、「友鶴」が1934年に荒天により転覆するという惨事を引き起こしました。この事故では113名の乗員のうち多くが失われ、艦艇の安全性についての見直しが求められました。この事件を契機に、千鳥型水雷艇を含む艦艇に対して復原性の改善工事が施されることとなりました。

工事では、艦橋の構造を低くし、バルジの追加や兵装の見直しが行われました。復原性が改善される一方で、兵装は削減され、艦艇の性質に大きな変化がもたらされました。

太平洋戦争での活躍

第二次世界大戦中、千鳥型は中国方面の作戦や南方の攻略作戦に従事しました。特に船団護衛任務では、その速力が生かされ、敵艦への襲撃や損傷船の処分といった役割を果たしました。しかしながら、戦争が進むにつれ、3隻が撃沈され、唯一生き残った「初雁」も後に戦後処理の際に解体されました。

機銃とその他の装備

戦局が厳しさを増す中、機銃の増備も行われ、13mm機銃や25mm連装機銃が追加されました。これにより、対空防御能力が強化され、艦艇の機動力も増しました。

結論

千鳥型水雷艇は、日本海軍の水雷艇の中でも特に多くの問題を抱えながらも、戦争初期から中期にかけて重要な役割を果たしました。重武装な設計がもたらすさまざまな課題や事故を経て、戦局の流れに影響を及ぼした艦艇として、その存在は歴史に名を刻んでいます。

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