南阿蘇鉄道

南阿蘇鉄道株式会社

南阿蘇鉄道株式会社（みなみあそてつどう）は、熊本県の高森線を運営する第三セクター方式の鉄道会社です。この会社は、南阿蘇村や高森町などの沿線自治体の出資により設立され、地域の発展に寄与しています。所在地は熊本県阿蘇郡高森町大字高森1537-2です。

沿革

南阿蘇鉄道は1985年に設立され、翌年の1986年には国鉄高森線を引き継ぎ、鉄道の運行を開始しました。運行開始と同時に、トロッコ列車「ゆうすげ号」の運転も始まりました。2008年には、線路と道路の両方を走行可能な「デュアル・モード・ビークル（DMV）」の実証実験を実施しました。

2016年4月に発生した熊本地震により、全線が運転見合わせとなりましたが、その後さまざまな復旧作業が進められ、2023年には全線が再開されることが決定しました。特に、国土交通省からの「鉄道事業再構築実施計画」の認定を受け、南阿蘇鉄道は上下分離方式に移行し、第二種鉄道事業者として運行を続けています。

路線と車両

南阿蘇鉄道の主要な路線は高森線で、立野から高森までの17.7kmを運行しています。現在の車両には新潟鐵工所製および新潟トランシス製の気動車が使われています。特に、MT-3000形やMT-4000形の車両が運行に使用され、トロッコ列車「ゆうすげ号」も人気の乗り物となっています。

車両の詳細

現在の車両

• - MT-3000形 (3010)：1998年製であり、「くまもと未来国体」に合わせて宝くじの助成金で製造された車両です。
• - MT-4000形 (4001-4004)：2022年に新たに製造され、2023年4月に営業運転を開始しました。この車両の導入により、老朽化した車両が置き換えられています。
• - DB16形やトラ700形、およびTORA200形も、トロッコ列車「ゆうすげ号」に利用されています。

また、車両の全般検査業務は外部の企業に委託しています。過去にもいくつかの車両があり、MT-2100形やDB10形などが運行されていましたが、老朽化や運用の終了に伴い廃車となっています。

経営課題

南阿蘇鉄道は、地域おこし協力隊員への給与未払い問題が発生し、2024年に報道されることとなりました。この件では、高森町と南阿蘇村との間での労働契約に関する不備が指摘され、多額の給与未払いが発生しています。この問題を受け、同鉄道は労務管理の改善に向けた取り組みを進めています。また、菊池労働基準監督署から是正勧告も受けています。

文化的な側面

南阿蘇鉄道の魅力は、単なる交通手段にとどまらず、地域の文化や観光を促進する要素をもちます。たとえば、トロッコ列車は観光名所として多くの人々に親しまれています。2024年1月にはNHK BSで「新日本風土記」で特集が組まれ、視聴者に南阿蘇鉄道の魅力を紹介しました。

南阿蘇鉄道は、地域のつながりを深めながら、今後もさらなる発展が期待される存在です。

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