受領

受領とは

受領（ずりょう）とは、古代日本において国司四等官の中で最も重要な職位であり、特に令制国において地方行政の責任を負う者を指します。その主な役割は、国守や権守として国家の方針に従い、地方における治政を担うことでした。

国司四等官と受領の変遷

国司四等官は元々、共同で地方行政の責任を果たしていましたが、平安時代の進展に伴い、筆頭者がその任を独占する形に変化しました。これにより、受領という職名が用いられるようになりました。この役職には下級貴族である諸大夫が多く就任しており、主に四位や五位の者が任用されました。

受領に関する手続きでは、国司が前任者から業務を引き継ぐ際に「受領」の名が冠されるようになりました。トランスファーの際の文書や業務の引継ぎは「分付」と呼ばます。

役割と権限の変化

受領は国の筆頭者である守や権守がその職務を担う場合が多いですが、特定の国、例えば上野国や常陸国、上総国においては次官である介や権介が受領の代理を務めることがありました。この背景には、親王が任国に赴任しないための制度が存在します。

一方、国司四等官の中でも次席の介や三席の掾、四席の目などは共同責任を負わず、任用と呼ばれる形態でした。実際に任国に赴かずに官職に伴う給付だけを受ける者は「遥任」と称されます。

地方行政の変革と良吏の登場

8世紀末から9世紀にかけて、日本は気候の寒冷化による作物の不作に悩まされ、その影響で地方における税収未納や民の疲弊が顕著になりました。この事態を受けて、優れた官僚、いわゆる良吏が国司として派遣され、地方政治を建て直す努力が求められました。六国史には、数々の良吏の施策が記録されています。しかし、改革が他の公務員や地方の有力者との対立を引き起こし、場合によっては改革が破綻することもありました。

国制改革の実施

9世紀半ばから10世紀にかけて、従来の律令制の限界が指摘され、中央政府は租税収入確保のために国制改革を進めました。この改革により、国司には税収や軍事に関する権限が委譲され、国司は国内において大きな権力を持つ一方で、京都に対しても確実な税上納をすることが求められました。

また、この改革により、国司は公田を名田に再編成し、富豪層に税収の徴収を委託する体制が整うようになります。このシステムが機能し出すにつれ、国司が実際に任国に赴かない「遥任」が一般化し、受領に対して膨大な権限が集まりました。

解由状と受領の起源

国司が交替するときに、後任の国司に業務引継を証明する解由状が発行され、これを受け取った国司を「受領」と呼ぶことが定着しました。この背景には、受領制度の中央政府における重要性や各国における国司の交替手続きの確立があるのです。

寛平から延喜にかけて、国司制度の改革を表す多くの法令が示され、受領の役職は国衙における最高責任者となることが求められました。しかし、この権限の集中は、受領とその補佐官である任用の間に新たな緊張関係を生むことになります。任用たちはしばしば独立した権限を持たず、受領の私的な従者として扱われることが多くなりました。

受領による租税の徴収と私的運用

受領が徴収した税金は、すぐに中央に納付されるわけではなく、一時的に受領個人の京庫に保管されることが多く、そこから指示を受けて納付を行う形態でした。そのため、受領は余剰の資金を私的に運用し利益を得る余地がありました。こうした事情から、王朝国家は実際に受領がどのように租税を取り扱っているかに関する問題が生じていきました。

受領層の変遷とその影響

11世紀に入ると、摂関家の影響下で家司や院司が任ぜられるようになります。この状況は受領層の影響力を低下させましたが、後には受領層の一部が成り上がり公卿の仲間入りを果たす例も見られました。

まとめ

受領の制度は、古代日本の政治体系において重要な役割を果たし、その権限の集中と土地管理の効率性は、当時の経済や社会の基盤を支えることに寄与しました。受領がもたらした変化とその後の歴史的な推移は、古代日本の長い歴史の中で重要な位置を占めています。

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