咸臨丸

咸臨丸の概要

咸臨丸（かんりんまる）は日本の幕府が保有していた艦船で、西洋式軍艦としては二番目の存在です。この軍艦は木造の蒸気コルベットで、3本のマストを持つバーク式の構造をしています。オランダ語では「Japan」と呼ばれ、ヤパン号とも表記されることがあります。名称の「咸臨」は『易経』から由来しており、君臣の親しみを意味します。

魅力的な艦船としての特性

咸臨丸は、日本の軍艦として初めてスクリュー推進を導入しました。しかし、スクリューは主に入出港の際に使われ、航海中は水中で抵抗を減らすために引き上げる仕組みが取られていました。この船舶は、姉妹艦として「朝陽丸」や「電流丸」を持ち、幕府の練習艦として利用されました。

太平洋の先駆者

特に名が知られるのは、幕府の艦船として初めて太平洋を往復したことです。その後、戊辰戦争にも参加しますが、咸臨丸の機能は他の艦船に比べるとやや劣っており、最終的には新政府軍に拿捕されました。その後、明治政府に接収され、開拓使の輸送船として使用されました。

艦型と技術革新

1989年、オランダで同型艦「バリ」の図面が見つかり、従来の艦の寸法に関する情報が明らかにされました。長さは約49.68メートル、幅は7.32メートル、推進力は100馬力とされ、様々な歴史的文献でもそのサイズが確認されています。

船歴と重要任務

江戸幕府の一部として

1855年に起工され、1857年に完成した咸臨丸は、長崎海軍伝習所の練習艦として使用されました。1860年、日米修好通商条約を結ぶために派遣された遣米使節団が咸臨丸を利用し、成功裏にアメリカへの往復を果たしましたが、往路では天候の影響を受けて問題が発生しました。

小笠原諸島の回収

文久元年に小笠原諸島の回収を命じられ、咸臨丸は幕府の派遣艦として出航しましたが、荒天のため計画通りには進まず、また指揮系統にも混乱が生じました。それでも、最終的には日本の領土に帰属させることができました。

戊辰戦争への関与

戊辰戦争では、咸臨丸は旧幕府艦隊としての戦闘に向かいましたが、暴風雨によるトラブルに見舞われ、結果として敗北しました。その乗組員の多くは戦死したり捕虜となったりしました。

明治政府での運用

1869年には民部省の管理下に移り、後に貸与されて北海道の開拓に従事しましたが、最終的には座礁によって沈没します。その原因は天候や艦長の操縦ミスとも言われています。

現在の記念

1987年には乗組員を追悼する碑が建立され、咸臨丸の歴史は多くの人々に覚えられています。また、近年ではレプリカ船が作られ、記念行事が行われるなど、艦船の遺産を次世代に伝える活動も行われています。毎年8月には「きこない咸臨丸まつり」が木古内町で開催され、当時の乗組員の子孫が参加してその歴史を称えています。

咸臨丸は技術と歴史が融合した艦船として、時代を越えた価値を持っています。

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