土岐光行

土岐光行の生涯

土岐光行（とき みつゆき）は、鎌倉時代前期に活躍した武将で、土岐氏の2代当主として名を馳せました。彼は美濃源氏の嫡流である土岐光衡の長男として生まれ、その運命を父に引き継いでいきます。光行は一日市場館を拠点にし、鎌倉幕府の御家人としての地位を築きましたが、同時に朝廷との関係も深めていきます。

光行は建保4年（1216年）、左衛門尉に任命され、源実朝が征夷大将軍に叙任される際には随兵としてその行列に参加しました。この時、後鳥羽上皇は光行の武勇と土岐家の勢力を高く評価し、院中での鍛練用の御刀を下賜しました。これにより、光行は武将としての存在感をさらに強めていくことになります。

幕府の記録『吾妻鏡』には、建保4年以降、光行の名前が「土岐左衛門尉」として散見されます。しかし、承久3年（1221年）の承久の乱における彼の動向については、複数の見解があります。『吾妻鏡』に登場する「土岐判官代」は光行と同一視されることが多いですが、多くの美濃の武士が京方に付いたことを考慮すると、光行自身は幕府側に立った可能性が高いとする説も存在しています。

光行が承久の乱で後鳥羽上皇の京方として参陣したとの説では、彼は1000の軍勢を率いて木曽川の西岸で足利義氏軍と対戦しますが、残念ながら大敗を喫し、美濃守護職を失うことになります。それでも、千葉氏の後見を受けて処罰を逃れた光行は、その後の時代において美濃における有力な御家人として成長していくのです。

乱の結果、光行は一日市場館を離れ、土岐川の南にある浅野館を築きました。この地では浅野光行と名乗り、浅野判官とも称されるようになりました。彼はこの地を基盤にして浅野氏の祖となり、以後、饗庭氏や肥田氏、明智氏、多治見氏などの庶流を生み出すことに寄与しました。

また、光行の業績や記憶は、現在でも同地に残る永松寺の境内に設けられた供養塔によって保たれています。彼の生涯は、土岐氏の発展とともに歩んだものであり、その影響は後の世にも及んでいるのです。

今後も、土岐光行の事績や家族の歴史に焦点を当て、彼の業績や影響を見続けていくことは、鎌倉時代の歴史を知る上で重要な要素となります。

もう一度検索