土岐持頼

土岐持頼の生涯とは

土岐持頼（とき もちより）は、室町時代中期に活躍した守護大名であり、伊勢の守護職を担っていました。彼の父は土岐康政（やすまさ）であり、持頼には政康や東陽英朝といった子がいました。土岐持頼は土岐世保家の3代当主で、世保持頼（よやす もちより）という名でも知られ、足利義持から偏諱（へんき）を受けて「持」という字を名乗るようになりました。また、持頼は土岐氏の通字「頼」を使用している点でも特徴的です。

家督相続と最初の失脚

持頼は応永24年（1417年）に父から家督を譲り受け、伊勢守護に任命されました。しかし、すぐに将軍・足利義持の弟である義嗣による将軍打倒の計画に巻き込まれ、康政と共に疑われることになります。それが原因で伊勢守護の地位を失った持頼は、さらなる困難に直面することになります。

応永31年（1424年）には、上皇の女官との密通の疑いがかかり、持頼は逃亡を余儀なくされました。しかし、政治的な圧力を受けた後、再び伊勢守護に復帰します。持頼の復帰には三宝院満済といった後援者の存在があったとされています。

乱への対応

応永35年（1428年）には、義持が亡くなったことを背景に、伊勢国司である北畠満雅が南朝の後胤・小倉宮聖承を擁して反乱を起こしました。この乱に対して、新将軍・足利義教の指示を受けた持頼は、満雅を討伐する役割を担いました。しかし、この時期を通して北畠氏による反乱が続き、持頼はその対応に追われました。

将軍と立場の変化

持頼はその後も将軍義教に仕官しましたが、次第に義教から遠ざけられ、対立が生じるようになりました。永享12年（1440年）、義教が持頼と一色義貫に大和の越智氏討伐を命じると、持頼は出陣しました。しかし、長野満藤や草生大和、一族の中尾民部、雲林院の者たちに攻撃され、包囲された結果、従兄弟と共に自害することとなりました。

土岐世保家のその後

持頼の死後、土岐世保家は子の政康によって継承されました。政康は応仁の乱に際して東軍に属し、一時的に幕府から伊勢守護に任じられましたが、一色氏や北畠氏との衝突により、その地位は次第に失われていきました。

美濃守護家との関わり

土岐氏の歴史には美濃の守護家との複雑な関係があり、持頼の祖父・土岐康行は美濃・尾張・伊勢の守護を兼任していましたが、幕府の挑発によって乱を起こし、敗北します。その際に康行と対戦したのが叔父の土岐頼忠でした。この結果、美濃の守護は頼忠系の西池田家が継承し、康行は一時的に没落するものの後に復帰しました。

その後の歴史において、応仁の乱では、美濃守護である土岐持益（頼忠の孫）とその養子成頼が西軍に属し、政康とは対立を見せるなど、土岐氏内の分裂が顕著となりました。

このように、土岐持頼の生涯は、乱や政治的対立、そして家族の中での継承争いなど、波乱に満ちたものでした。彼の行動とその結果は、後世の土岐氏にも大きな影響を与えました。

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