東陽英朝

東陽英朝（とうようえいちょう）

東陽英朝は、室町時代中期に活躍した臨済宗の僧侶で、大徳寺と妙心寺という二つの名刹で住持を務め、妙心寺の有力な一派である聖沢派の祖となりました。その生涯は、美濃国（現在の岐阜県）での誕生から始まり、各地の寺院での修行と住持を経て、最終的には少林寺でその生涯を終えました。

生涯

出自と出家

1428年（正長元年）、東陽英朝は美濃国の武将、土岐持頼の次男として、現在の岐阜県加茂郡八百津町にあたる場所で生を受けました。幼くして仏門に入り、5歳で天龍寺の玉岫英種に師事し出家しました。その後、南禅寺で修行を重ね、禅の道に励みました。

修行時代

30歳を過ぎてからは、龍安寺の初代住職である義天玄承に師事し、その薫陶を受けました。義天玄承の没後には、雪江宗深に師事し、さらに禅の修行を深めました。

寺院の開山と住持

長禄年間には、現在の岐阜県加茂郡川辺町に臨川寺を開山しました。その後、1474年（文明6年）には、加茂郡太田に涌泉庵という草庵を結び、これが後に祐泉寺となりました。1478年（文明10年）には印可を受け、雪江宗深が住持をしていた丹波国竜興寺の住持となりました。その後、1481年（文明13年）には大徳寺の住持となりますが、翌年には竜興寺に戻りました。

妙心寺との関わり

その後、尾張国瑞泉寺の住持となり、さらに妙心寺に移り、1489年（長享3年）から3年間、同寺の住職を務めました。この時期には、岐阜県瑞浪市に林昌寺を開いています。

隠棲と少林寺の再興

妙心寺の住職を辞した後、1492年（明応元年）には美濃国加茂郡黒瀬の不二庵に移り住み、この庵は後に改築・改称されて大仙寺となりました。その後、岐阜定慧寺の開山にもなりました。1499年（明応8年）には、薄田祐貞に招かれ、木曽川の洪水で荒廃していた少林寺の再興に尽力しました。この少林寺は、臨済宗妙心寺派（聖沢派・東陽派）の寺院として再興され、新加納（現在の各務原市）に移転しました。

遷化とその後

1504年（永正元年）、東陽英朝は少林寺にて遷化し、同寺に葬られました。また、瑞浪市の林昌寺にも無縫塔があります。1653年（承応2年）には、大道真源禅師と諡されました。

弟子と業績

東陽英朝の法を継いだ弟子には、天蔭徳樹や大雅耑匡などがいます。特に天蔭徳樹は、妙心寺に塔頭の聖沢院を創建し、東陽英朝を勧請開祖としています。また、東陽英朝の語録として『少林無孔笛』が残されています。

東陽英朝は、その生涯を通じて、臨済宗の発展に大きく貢献し、特に妙心寺の聖沢派の開祖として、その名を禅宗史に刻んでいます。

参考資料

『新版禅学大辞典』
『妙心寺 650年の歩み』

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