堕天使

堕天使の概念

堕天使（だてんし）は、神によって創造された存在でありながら、自らの高慢や嫉妬から反逆し、罰として天界を追放された天使を指します。彼らは自由意志を持つために堕落し、神から離れた存在となりました。堕天使の概念は、ユダヤ・キリスト教の複雑な歴史的背景のもとに育まれました。

堕天使の歴史的背景

キリスト教において、悪魔は堕落した天使と考えられています。実際、旧約聖書として知られるヘブライ聖書には、堕天使に関する直接的な記述は存在しません。しかし、堕天使の伝説は、「エノク書」などの偽典に見ることができます。この伝承は、善と悪の戦いの観念を強調しつつ、原始キリスト教に影響を与えました。これにより、堕天使についての考え方はキリスト教の基本的な部分として根付いたのです。

堕天使の代表的な存在

多くの場合、堕天使の首領とされる存在がサタンですが、外典や偽典では、マスティマ、ベリアル、ベルゼブブ、アザゼルといった名前も見られます。新約聖書の中では、特に「ヨハネ黙示録」の中でサタンが天から追放される物語が語られています。聖書には解釈の余地があり、後のキリスト教文学や神学で「堕天使」に関するさまざまな物語や理論が展開されています。

堕天使の堕落の動機

堕天使が堕落した理由には様々な観点がありますが、一般的には高慢や嫉妬が指摘されています。

高慢による堕落

堕天使の中でもサタンは、高慢によって反逆を試みました。聖書の「エゼキエル書」では、彼は神のもとで特別な地位にあったとされますが、自らの力を過信し、神に対抗しようとしました。結果的には彼の反逆は失敗に終わり、サタン及び彼に味方した天使たちは天界から追放されることとなります。

嫉妬による堕落

また、神が人間を特別に愛し、天使以上の位置づけで創造したことに対し、嫉妬心を抱いたのが元ケルブのベリアルでした。彼はこのことに対する抵抗から、神に挑戦することを決意しました。結局は敗北し、自らも堕天使となったのです。この嫉妬から、ベリアルは人間に対しさまざまな誘惑を行うようになりました。

自由意志による堕落

加えて、堕天使は自由意志を持ったために堕落したとも言われています。神は天使たちに自発的に従うことを期待して創造した結果、自由意志を持つ存在が生まれ、それが反逆に繋がったという考え方です。その中で、アザゼルは地上に降下し人間との関係を持つようになり、彼らに知識を授けました。そして、こうした堕落から彼らは悪魔へと進化したと言われています。自由意志に基づき、堕天使は天使へ戻ることができるとも論じられています。

聖書における記述

堕天使として言及されることが多いルシフェルの記述は、旧約聖書「イザヤ書」に見られます。ここでは堕天使の堕落の様子が描かれており、その後の神学や文学において重要なテーマとなりました。堕天使の概念は、神と人間の関係、善悪の戦いを考える上で欠かせない要素となっています。

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