増山江威子

増山江威子：日本の声優・女優の歩み

増山江威子（ますやま えいこ、1936年4月22日 - 2024年5月20日）は、日本で長年にわたり活躍した女優、声優、ナレーターで、青二プロダクションに所属していました。東京都品川区出身の彼女は、幼少期からアートや演技に対する強い情熱を持ち続けました。

幼少期と教育

増山は4人姉妹の末っ子として育ちました。幼い頃は少しゆっくりした話し方をしており、学校での発言に対して同級生や教師から指摘を受け、劣等感を抱くようになります。最初はバレリーナを目指していたものの、肺病のためにその夢を諦めることに。その後、演技に関心を持ち始め、義理の兄の紹介で新児童劇団に入団します。ここで麻生美代子から話し方を学び、自信を持つようになります。この経験が、彼女の演技力を磨く大きな土台となりました。

立正学園高等学校を卒業した後、15歳で「劇団山王」を立ち上げ、数年後には浅利慶太の劇団四季に参加し、演技を学び続けました。活動の幅を広め、さまざまな作品にキャスティングされるようになります。

声優業と影響

増山は、テレビやラジオドラマ、アフレコに出演し、多くの声を担当する中で声の仕事への興味を深めていきました。特にアニメーションにおいては、彼女の声は特徴的であり、「上品で情熱的なメゾソプラノ」と称されました。彼女は家庭や子供の育成と仕事を両立させるため、声優業に専念することを決意。1960年代から青二プロダクションに所属し、数々の作品に出演しました。特にアニメ『天才バカボン』のバカボンのママ役など、数多くのキャラクターで知られています。

2017年には『東京アニメアワードフェスティバル2017』にて「アニメ功労部門」を受賞し、2021年には「第15回声優アワード」において「功労賞」を受賞するなど、その功績が評価されました。

プライベートと人間関係

幼少の頃から宝塚歌劇団のファンであった増山は、一時期入団も考えました。結婚後は宝塚の近くに約9年間住み、ジェンヌたちとの交流を深めました。彼女はファンから「不二子ママ」と呼ばれ親しまれ、また、同年代の先輩や後輩声優たちとの友情も育んでいました。稲吉靖司や毒蝮三太夫などの仲間と過ごし、互いに支え合いながら成長していったことも、彼女の生き方の一部です。

代表的なキャラクター

増山が声を担当した中でも、特に知られるキャラクターには『ルパン三世』の峰不二子や『キューティーハニー』のハニーがあります。それぞれの役に対してのアプローチや思い入れを持ち、作品ごとに異なる魅力を引き出していました。不二子に関しては、彼女自身が「理想を兼ね備えた女性」と語り、演じる際には「健康的な色気」を意識して取り組んでいたといいます。

最後の日々

2024年5月20日、慢性の肺炎による合併症で逝去。88歳での死去は、長いキャリアの終焉を迎えました。最期の出演作品は、2024年2月2日に放送された『それいけ!アンパンマン』でのやみの女王役であり、多くのファンに愛された彼女の声は、これからも長く記憶されることでしょう。葬儀は家族葬として執り行われ、その訃報は6月3日に公式に発表されました。増山江威子の功績は、声優業界に多大な影響を与え、多くの人々に愛され続ける存在でありました。

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