多度祭

多度祭（たどまつり）

多度祭は、三重県桑名市多度町にある多度大社で、毎年5月4日と5日に開催される伝統的な祭りです。特に、急な坂を駆け上がる「上げ馬神事」は、祭りのハイライトとして知られています。

概要

上げ馬神事では、6つの地区からそれぞれ3頭、合計18頭の馬が坂上げに挑戦します。この神事は、暦応年間（1338年 - 1342年）に、この地域を治めていた武士によって始まったと伝えられています。

祭りの期間中、騎手は4日には陣笠裃姿、5日には花笠武者姿で馬に乗り、高さ約2メートルの絶壁を駆け上がります。馬が坂を駆け上がる様子で、その年の豊作や不作を占います。上げ馬は、4日には各地区2回ずつ、合計12回、5日には各地区1回ずつ、合計6回行われます。

5日には、上げ馬の後、3基の神輿が肱江の御旅所船着社に渡御され、須賀の馬場では流鏑馬神事も行われます。

上げ馬神事は、1978年（昭和53年）に三重県の無形民俗文化財に指定されています。

しかし、2020年（令和2年）には、新型コロナウイルス感染症の拡大により、上げ馬神事は中止となりました。これは、元亀2年（1571年）に織田信長の攻撃によって多度大社が焼失して以来のことでした。

上げ馬神事にまつわる問題と対策

近年、上げ馬神事における動物虐待の問題が指摘されています。2009年（平成21年）には、馬を興奮させるために腹部を蹴ったり殴ったりする行為が告発され、関係者が書類送検されました。この問題を受け、多度大社は三重県教育委員会から勧告を受けています。

2023年（令和5年）には、神事中に馬が転倒し骨折、殺処分となる事故が発生しました。過去15年間にも同様の事故が3件発生しており、三重県知事は対策を講じる必要性を訴えました。

事故の原因として、坂の高さや、上げ馬に適していないサラブレッドの使用が指摘されています。これに対し、三重県は坂の構造を見直すことを提案し、多度大社や地元代表もこれを受け入れる方針です。

2024年（令和6年）には、坂の土壁を撤去し、斜面を緩やかにするなどの改善策が施されました。これらの対策によって、馬への負担を軽減し、安全な神事の運営を目指しています。

まとめ

多度祭は、伝統と文化が息づく貴重な祭りですが、近年は動物愛護の観点から見直しを迫られています。関係者は、伝統を守りつつ、動物への配慮を両立させるための努力を続けています。今後の多度祭が、人と動物が共存できる、持続可能な祭りとなることを願います。

関連項目

多度大社
流鏑馬
馬術

外部リンク

多度大社公式ホームページ
桑名市観光ガイド・多度まつり概要
桑名市の指定文化財
* 三重県の無形民俗文化財

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