大型船舶

大型船舶

大型船舶（おおがたせんぱく）とは、一般的に総トン数20トン以上の船舶を指す通称です。この区分は、日本の法律において船舶の登録や管理のあり方を定める上で重要な基準となっています。

法的な位置づけ

日本の商法や船舶法では、総トン数20トン以上の船舶に対して特別な規定を設けており、総トン数20トン未満の船舶（小型船舶など）とは異なる扱いをしています。具体的には、商法第686条第1項（船舶所有者の登記義務など）や船舶法第4条から第19条までの規定（日本船舶の総トン数測度申請やその他の義務など）は、大型船舶にのみ適用され、総トン数20トン未満の船舶には適用されません（商法第686条第2項、船舶法第20条）。

船舶は、その所有権などを公示するために登記・登録が義務付けられているかどうかによって、「登簿船」と「不登簿船」に分類されます。日本の法令の下では、総トン数20トン以上の船舶、すなわち大型船舶が「登簿船」に該当します。これらの日本船舶の所有者は、船舶法に基づいた船舶登記および船舶登録を行うことが義務付けられており、これにより船舶国籍証書または仮船舶国籍証書の交付を受ける必要があります（商法第686条第2項、船舶法第20条、船舶法第5条第1項）。この手続きを経ることで、船舶の所有権や国籍が公的に証明され、航行の安全確保や国際的なルールの遵守が可能となります。

関連する分類

船舶の分類は、法律や目的に応じて多様です。例えば、海上交通安全法では、船舶の長さを基準とした特別な分類があります。この法律では、全長が200メートルを超える船舶を「巨大船」と定義し、その航行について特別な規制やルールを設けています。この「巨大船」という分類は、大型船舶という総トン数に基づく分類とは異なる基準であり、混同しないことが重要です。大型船舶の中には全長が200メートルを超えるものも存在し、巨大船に該当する場合もありますが、すべての大型船舶が巨大船となるわけではありません。

日本の主要な大型船舶メーカー

大型船舶の建造は、高度な技術力、大規模な設備投資、そして長い建造期間を要するため、これを専門とする企業は限られます。日本は世界でも有数の造船国であり、多くの主要メーカーが存在します。これらのメーカーは、事業内容や成り立ちによっていくつかのタイプに分けられます。

総合重工系: 造船事業を含む幅広い産業分野を手掛ける企業グループです。
ジャパン マリンユナイテッド
三菱造船
川崎重工業
住友重機械マリンエンジニアリング
オーナー系専業: 造船を主たる事業とし、特定の船主やグループとの関係が深いメーカーです。
今治造船
大島造船所
名村造船所
新来島どっく
サノヤス造船
常石造船
* など。

これらのメーカーは、コンテナ船、タンカー、ばら積み貨物船、フェリー、客船など、様々な種類の大型船舶を設計・建造し、世界の物流や旅客輸送を支えています。

関連事項

大型船舶や日本の海事産業についてさらに詳しく知るためには、以下の関連事項も参照すると良いでしょう。日本の造船会社や造船所の詳細なリスト、船舶の運航や保守管理を行う専門職である海技士、そして海技士を育成する海技大学校をはじめとする海事教育機関などが含まれます。また、大型船舶との対比で小型船舶についても理解を深めることで、船舶全体への知見が広がります。

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