大宮総合車両センター

大宮総合車両センターは、埼玉県さいたま市大宮区に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）の首都圏本部が管轄する鉄道工場です。その歴史は1894年（明治27年）に日本鉄道が開設した工場に遡り、130年以上にわたります。鉄道博物館と並び、「鉄道のまち大宮」を代表する施設として、地域社会に深く根ざしています。

概要

このセンターは、JR東日本に5箇所ある在来線総合車両センターの一つであり、開設当初は車両の検査・修繕だけでなく、蒸気機関車や電気機関車の製造も手掛けていました。しかし、現在は電車の修繕が主な業務となり、以前と比べて工場の規模は縮小されています。

2004年（平成16年）に現在の名称に改称され、2006年（平成18年）には東大宮操車場構内に東大宮センターが新設されました。これにより、小山車両センターや高崎車両センターに配置されていた車両の一部が転属し、同センターが車両基地としての役割も担うようになりました。また、本所の解体留置線跡地には2007年（平成19年）に鉄道博物館が開館し、鉄道ファンや家族連れに親しまれています。

イベント

毎年11月第4土曜日には、一般公開イベント「鉄道のまち大宮鉄道ふれあいフェア」が開催されます。このイベントは、以前はセンター内のみで行われていましたが、2014年からはさいたま市との共同主催となり、大宮駅構内および周辺地域も会場に加わり、より大規模なイベントとして楽しまれています。

敷地・設備

敷地は、大宮駅の11番線ホーム端から宇都宮線と高崎線の分岐点を経て、高崎線沿いに南北約1km、東西約0.2kmと細長く広がっています。構内には東北・上越新幹線やニューシャトルの高架が縦断し、JR貨物大宮車両所も併設されています。

センター本所への出入りは、大宮駅貨物下り本線10番線と11番線を繋ぐシーサスクロッシングから行われます。構内には、整備線、待合線、EC整備棟、出入場・艤装棟、トラバーサー、車体検修棟、気吹棟、塗装棟、部品検修棟、電機棟、空制棟、計画棟、庁舎、留置線、配給車ホーム線、横回し線、引込み線、解体線、試運転線など、多岐にわたる設備が整っています。

また、社員のスキルアップを目的とした人材育成の場として、「大宮グローアップスクエア」が設けられています。ここでは、基礎学術、安全作業、検修技能、脱線復旧といった4つの訓練が行われ、社員の能力向上に役立てられています。

外周部

2007年 10月14日の鉄道博物館オープンに合わせ、大宮駅から鉄道博物館への徒歩ルート上にある道路沿いの整備が行われました。沿道には、3か所のRAILWAY GARDEN PROMENADE（R.G.P.）が設置され、そのうち1箇所ではセンター本所内の施設を見学でき、2箇所には車両が保存されています。また、外壁にはJR東日本の保有車両の写真と解説パネルが展示されています。

歴史

1894年（明治27年）に日本鉄道が工場を設置して以来、大宮総合車両センターは日本の鉄道史と共に歩んできました。開設当初は客車や貨車の修繕が主な業務でしたが、蒸気機関車の製造も行われました。国有化後は、蒸気機関車や電気機関車の検査・修繕を主力とし、昭和初期からはディーゼル機関車や気動車の製造も開始されました。戦後の電化の進展に伴い、1968年（昭和43年）には蒸気機関車の修繕は一旦幕を閉じましたが、その経験と技術は「SL魂」として受け継がれ、現在にも活かされています。

民営化後も車両製造を行いましたが、現在は車両メーカーにその役割を譲り、電車の検査や修繕、改造業務、そしてSLの復元工事に力を入れています。

組織体系

センターは、所長以下、計画部門と施工部門の計8科体制で組織されています。計画部門は、総務科、生産管理科、品質管理科、技術科で構成され、施工部門は、車両検査科、車体一科、車体二科、車体三科で構成されています。技術科の下には台車・輪軸技術センターが属しています。

東大宮センター

東大宮センターは、1969年4月に尾久客車区東大宮派出所として新設された東大宮操車場を前身とする車両基地です。分割民営化後、小山電車区の下部組織を経て、2006年 3月に大宮総合車両センターの下部組織となりました。

業務内容

センター本所では、大宮支社や高崎支社などの新系列および従来系列車両の検査・修繕、改造、試運転、蒸気機関車の車体復元などを行っています。2006年 3月に鎌倉総合車両所の工場機能が廃止されたことに伴い、首都圏の特急車両のメンテナンスも当センターへ移管され、多様な車両を取り扱っています。

検査・修繕

センターでは、「新保全体系」と「従来の保全体系」に基づき検査周期を設定し、検査修繕を進めています。新系列電車と特急形電車は、2019年7月1日から検査周期が延長されています。

保存車両

センター本所内には、D51 187、EF15 168、EF58 154などの貴重な車両が保存されています。これらの車両は、鉄道ファンや歴史愛好家にとって貴重な財産であり、鉄道の歴史を今に伝える役割を担っています。

大宮総合車両センターは、日本の鉄道技術の発展に大きく貢献してきた重要な施設であり、これからもその役割を果たし続けることでしょう。

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