奥沢駅

奥沢駅（おくさわえき）

東京都世田谷区奥沢三丁目に所在する、東急電鉄目黒線の駅です。駅にはMG07という番号が付与されています。目黒線の駅の中で唯一世田谷区内に位置し、同区の南端に位置する駅としても知られています。

歴史

奥沢駅は、大正12年（1923年）3月11日に開業しました。開業から時を経て、昭和10年（1935年）には北口が設けられています。

平成12年（1999年）9月からは、当時の目黒線の列車編成に対応するため、4両分だったプラットホームを6両編成対応に延伸する工事が始まり、翌年の8月に完成しました。同年8月6日には、かつての目蒲線が目黒線と東急多摩川線に分割され、当駅は目黒線の一部となりました。

平成30年（2018年）からは、新たに8両編成での東急新横浜線との直通運転に対応するため、プラットホームを6両から8両に延伸する工事が着手されました。この工事では同時に、急行列車の通過線や、ホーム間の連絡を可能にする跨線橋、バリアフリー設備としてのエレベーターなども設置する駅全体の改良工事も行われました。この大規模な工事は5年程度の工期が予定されていました。

令和4年（2022年）には、改良工事の主要部分が完成し、供用が開始されています。まず2月26日には、北口の新しい駅舎とそれに付随する駅ビル、そして改札外の連絡通路となる跨線橋（歩道橋）が利用できるようになりました。続いて3月12日には、待避線の供用が開始され、急行列車の通過や各駅停車列車の待避が可能になりました。

駅名の由来

駅名は、この地域の古くからの地名である「荏原郡玉川村大字奥沢」に由来しています。「奥沢」という地名には、「呑川の下流方面から見て奥まった場所にある沢地」という意味が込められています。この地域を流れる呑川の支流である九品仏川（昔は丑川と呼ばれていました）の流域を他の地域と区別するために、「奥深い沢」という言葉が使われましたが、次第に「深い」という部分が省略され、「奥沢」という地名になったとされています。

駅構造

現在の駅は地上にあり、列車が乗降する相対式ホームが2面、その間に上下線のどちらか一方向の列車が通過するための線路（上り通過線）が1線配置されています。この構造は、近年の大規模な改良工事によって実現したものです。駅の近くには、目黒線で使用される車両が所属する元住吉検車区奥沢車庫が隣接しています。この車両基地へ分岐する線路には、鉄道の高速走行性を高めるノーズ可動式分岐器が用いられています。

改良工事が行われる以前は、奥沢駅は単式ホームが1面1線（1番線）と、島式ホームが2面2線（2番線・3番線）という構造でした。上り列車は主に2番線を使用していましたが、3番線は田園調布駅方面が行き止まりになっており、当駅を始発または終点とする一部の列車のみが利用していました。時間帯によっては、車両を留置する場所としても使われていました。改良工事に伴い、令和2年（2020年）2月からは3番線の使用が停止され、列車待避に対応した新しい3番線と、上り列車用の新しいホームの整備が進められました。これは令和4年（2022年）3月に完成・供用開始となり、これにより通過線となった旧2番線ホームは廃止・撤去されました。

駅構内、具体的には3番線ホーム側の改札内にはトイレが設置されており、ユニバーサルデザインに配慮した多機能トイレも備えられています。また、駅には列車に乗務する乗務員を管轄する奥沢乗務区が置かれています。

のりばと乗り換え

現在の奥沢駅では、1番線ホームと3番線ホームはそれぞれ独立して存在しており、それぞれのホームに通じる改札口も、田園調布駅方面にある踏切を挟んで別々の場所に設けられています。令和4年（2022年）2月に利用が開始された上下線間の連絡跨線橋は改札の外に位置しており、改札内にホーム間を移動できる通路は設置されていません。

かつて、3番線ホームが田園調布方面行き止まりだった時代には、目黒方面から3番線に到着する当駅終着列車から、当駅で田園調布より先へ向かう後続列車に乗り継ぐことが物理的にできませんでした。そのため、乗客には一つ手前の大岡山駅で乗り換えるように案内されていました。しかし、平成20年（2008年）6月の目黒線の日吉駅延伸に伴うダイヤ改正以降、当駅を終着とする列車は、平成26年度（2014年度）まで行われていた終夜運転時を除いて終電のみとなったため、このような乗り換え案内は行われなくなりました。

利用状況

令和5年度（2023年度）における奥沢駅の1日平均乗降人員は 11,973人です。

駅周辺

奥沢駅は、昭和47年（1972年）に駅舎が改築された際に、駅前に噴水を備えた広場が整備されました。この駅前広場は、平成4年（1992年）に「ふんすい広場」と名付けられ、世田谷区によって選定された「せたがや百景」の一つにも含まれています。

駅周辺には、以下のような施設があります。

東急奥沢駅ビル：下り線側の改札がある建物で、駅施設に加え、テナントが入居しています。
三敬ビル
世田谷区奥沢区民センター（現在は休館中です）
世田谷区立奥沢図書館（現在は休館中です）
世田谷区役所奥沢まちづくりセンター
東京消防庁玉川消防署奥沢出張所
おくさわ脳卒中リハビリテーション病院（旧称：大脇病院など）
世田谷奥沢郵便局
奥沢病院
奥沢神社
奥沢商店街（駅の南側エリア）
諏訪山商店街（駅の大岡山駅寄りエリア）

バス路線

駅周辺にはバス停留所があり、東急バスの路線が運行されています。「奥沢駅北口」および「奥沢駅南口」停留所から、多摩01系統として東京医療センター方面と多摩川駅方面を結ぶバスが利用できます。ただし、令和4年（2022年）4月時点では、東京医療センター行は1日5便、多摩川駅行は1日6便と、運行本数は少ないです。

隣の駅

東急電鉄 目黒線

急行: 当駅には停車しません（通過します）
各駅停車: 大岡山駅 (MG06) - 奥沢駅 (MG07) - 田園調布駅 (MG08)

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