女番長

作品概要

1973年の初頭、1月13日に日本の劇場で封切られた『女番長』（スケバン）は、当時の日本映画界で人気を博していた『女番長シリーズ』の第4弾として制作された作品です。不良のレッテルを貼られた少女たちが織りなす人間模様や抗争を、独自のスタイルで描き出しています。シリーズの一環として、その時代の若者文化や社会背景の一面を映し出しており、主演を務めた杉本美樹をはじめとする個性豊かなキャスト陣が、作品世界に深みを与えています。

登場人物たち

本作には、多様なバックグラウンドを持つ不良少女たちや、彼女たちを取り巻く大人たちが登場します。物語の中心となるのは、主演の杉本美樹が演じる「関東小政」という役柄です。彼女を中心に、様々な二つ名を持つ少女たちが登場します。「盛装の鈴江」を渡辺やよいと太田美鈴が、「淫奔のラン子」を丘ナオミが演じ、その個性的な役名だけでも、作品が描こうとする世界の片鱗がうかがえます。「お祭りの桃子」役の西来路ひろみ、「ゴロメン燎子」役の衣麻遼子といった面々も、物語に彩りを加えます。また、男性キャストも多数登場し、不良娘たちと関わります。宮内洋が手代木達夫を、成瀬正孝が修司を演じるほか、天津敏、汐路章、遠藤辰雄といったベテラン俳優たちが、物語に緊張感や深みをもたらしています。非情な敵役として淀博丈や佐竹が登場し、二官昌三とその家族（文子、秀昭）といったキャラクターも物語に関わってきます。不良娘たちの中には、カズミ（岡邦子、一の瀬レナ）、律子（風間千代子、碧川ジュン）、ミネ（女屋実和子、須藤リカ）といった複数キャストで演じられている役柄も見受けられます。荒木一郎が演じる「ゴキブリの一郎」や、池玲子が演じる「学ラン摩耶」といった、インパクトのある名前のキャラクターも登場し、作品の雰囲気を決定づけています。さらに、ノンクレジットながら金子信雄が靴磨きの客として出演しており、当時の映画界を代表する俳優たちの顔ぶれが揃っています。

作品を彩る音楽

『女番長』では、作品世界を盛り上げる特徴的な楽曲が使用されています。主題歌は『女番長流れ者』と題され、主演の杉本美樹自身が力強く歌唱しています。この楽曲はビクターレコードからリリースされており、すずきすずかが作詞を、水木京子が作曲を手がけました。作品の顔とも言えるこの曲は、不良少女たちの力強さや孤独を表現していると言えるでしょう。また、挿入歌として『兄妹（きょうだい）』が物語に情感を添えています。この曲はコロムビアレコードからリリースされ、西来路ひろみが歌唱を担当しました。梶野真澄が作詞を、桜田誠一が作編曲を手がけたこの楽曲は、登場人物の内面に光を当てる役割を果たしていると考えられます。さらに、劇中歌として使用されている楽曲も特筆すべき点です。これは「練鑑ブルース（ネリカン・ブルース）」の替え歌であり、クレジットには記載されていませんが、映画の冒頭部分、護送車に乗せられた少女たちが歌う場面で使用されています。この劇中歌は、彼女たちが置かれた過酷な状況や、その中での連帯感を象徴的に表現していると言えるでしょう。これらの楽曲群は、単なる背景音楽としてだけでなく、登場人物たちの感情や物語の展開と深く結びつき、作品世界をより豊かにしています。

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